【ドーハ22日=佐藤成】今度こそ日本の救世主になる。サッカー日本代表(FIFAランキング17位)は、24日にAFCアジアカップ(アジア杯)カタール大会1次リーグ第3戦で韓国人の申台龍(シン・テヨン)監督(53)率いるインドネシア(同146位)と対戦する。日本は前日21日より10分長い25分間、練習を公開。ボール回しや3色に分かれたボールの奪い合いなどのトレーニングを行った。2試合連続2失点のGK鈴木彩艶(21=シントトロイデン)は強靱(きょうじん)なメンタルで苦境を乗り越え、チームに貢献することを誓った。

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強い気持ちで批判をはじき返す。真っすぐなまなざしで鈴木は言った。

「自分としては失点しても気持ちがぶれることなくプレーしていたし、最後までプレーするというのはずっとやってきている部分。この大会に限らず今までもこれからもやっていく」

初戦ベトナム戦、そして敗れたイラク戦ではシュートやクロスをはじく方向が悪く、そこから相手に押し込まれた。「はじく判断も自分としては悪くないと思っている。あとはどこにはじくかを修正しないといけない」と引き締めた。

大切なのは修正して次に生かすこと-。21日には、練習前に約30分間のミーティングを行った。その中で、ピッチ上で選手が後ろに引きすぎているという指摘があった。自分に何ができるか。「DFが上がった時に裏へのカバーとかはポジショニング含めてしてもいいのかな」とうなずいた。

失点を糧に、次はヒーローになる。04年大会の川口能活、11年大会の川島永嗣と優勝時には記憶に残る守護神の存在があった。「キーパーの難しさはありつつも、やはり失点と隣り合わせだからこそ、チームを救った時が一番楽しい部分ではある」。

高いレベルを求められるのが、日の丸を背負う者の使命。だからこそ、批判の声は真正面から受け入れる。ただ、ガーナ人の父を持つパリ五輪世代の若きGKの元には、SNSを通じて心ない言葉も届いた。「やはり差別的な発言とかというところは控えていただきたい」と訴えた。負けるつもりはない。「結果で見返してやろうかなという気持ちですね」。鈴木が無失点に抑え、チームに勢いを呼び込む。

 

○…MF久保建英(22=Rソシエダード)が、先発して敗れたイラク戦の反省を生かす。試合開始から相手の勢いにのまれた一戦を「相手が良かった。やりたいことを序盤からしっかりやられた」と回顧。失敗を二度と繰り返さないため「反省点を生かして、相手に押し込まれないように人数をかけて前から行く」と力を込めた。

 

○…MF三笘薫(26=ブライトン)は、全体練習には参加せず、ホテルでコンディション調整した。昨年12月のリーグ戦で左足首を負傷した影響で、別メニュー調整が続き、20日に初めて対人練習に参加。1次リーグ中の復帰を目指して順調にリハビリメニューを消化していたが、インドネシア戦の2日前に再び別メニューとなった。このタイミングで全体練習に参加していないとなると、同戦に出場する可能性は極めて低くなった。前日21日はコンディション調整のため室内でトレーニングしたMF南野拓実(29=モナコ)は、笑顔で全体合流し汗を流した。