26日に行われるFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会アジア2次予選アウェー北朝鮮戦の、平壌開催が急転白紙となったことが21日、分かった。東京・国立競技場で行われた日本(FIFAランキング18位)-北朝鮮(同114位)後、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(66)が中止を明らかにした。

この日までに、北朝鮮協会がアジア・サッカー連盟(AFC)に対し、日本との平壌(金日成競技場)での試合を中止したい旨のレターを送付。田嶋会長は「今朝(7時半ごろ)突然、AFCに対して北朝鮮から『平壌での開催が難しい』と。それを受けたAFCが午後3時までに対抗案や中立会場など『北朝鮮の責任の下でやりなさい』と。残念ながら代案が来なかった」と説明した。

代替地は未定。今後は中立地、日本の不戦勝などの案が浮上している。田嶋会長によると、北朝鮮の団長が日本での開催を要望してきたが「いま聞かれて、できます、ということは難しい」と断った。

またも繰り返された急転劇。2月の女子日本代表なでしこジャパンと北朝鮮によるパリ五輪(オリンピック)アジア最終予選の第1戦も、当初は平壌開催とされていたが、AFCが北朝鮮の運営面を問題視。中立地での代替開催を提案し、中国説など情報が錯綜(さくそう)した中、サウジアラビア・ジッダとなった。長距離移動を余儀なくされた末の試合は劣勢となり、スコアレスドローとなっていた。

その開催地の最終決定は、試合のわずか3日前。DF熊谷紗希主将(33=ローマ)が「こんなことあってはいけない」と後手後手の対応を非難する事態になっていた。

今回は違った、となるはずだった。男子の開催に向けて、北朝鮮が3月上旬にAFCの視察団を受け入れるなど準備は進んでいた。

諸条件がクリアになって11日に平壌開催が正式発表され、多くの日本メディアに対しても入国と取材の許可を出していた。

そこから一転、試合5日前に急きょ開催地が不透明となるドタバタ劇が再現された。これを受け、森保ジャパンは予定されていた翌22日の出国を取りやめ、国内待機することに。試合後に伝え聞いた選手は「早く情報が欲しかった」と吐露した。

北朝鮮では、日本で「伝染病」が拡大していると伝えられているという。日本で報告数が増えている「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」を警戒した防疫上の措置で、日本からの入国を全面的に禁止とした模様だ。「人食いバクテリア」とも呼ばれ、国内の感染者数は過去最多。発症者の30%が死亡との報告もある。

北朝鮮は新型コロナウイルスが感染拡大した時も、18年のジャカルタ・アジア大会から23年の杭州アジア大会までの5年間、国際スポーツ大会から姿を消していた。