FIFAワールドカップ(W杯)アジア2次予選で日本代表のアウェー北朝鮮戦が、同国の申し入れにより、当初予定の26日には開催されないことになった。

既に平壌開催が消滅していた上に、アジア・サッカー連盟(AFC)が22日に「スケジュール通りには実施しない」と発表。この試合の取り扱いは今後、国際サッカー連盟(FIFA)が決める。

W杯予選において、こうしたトラブルが過去にもあった。その時のFIFAの対応は? 前例を集めた。【石川秀和】

◆アウェー遠征拒否 2018年ロシア大会アジア2次予選、15年10月13日に開催予定だったパレスチナ-サウジアラビア戦。サウジアラビアはイスラエルが占拠するヨルダン川西岸地区での試合への出場を安全面が保証されないとして拒否。中立地での開催を求め、FIFAも受け入れたが、パレスチナが反発して延期になった。だが、FIFAは最終的に中立地のヨルダンでの開催を決定。同年11月9日に行われ、0-0で引き分けた。

◆競技場の基準満たせず 2010年南アフリカ大会の北中米カリブ海1次予選。ドミニカ共和国がFIFAの基準を満たすスタジアムを用意できず、試合が中止になった。プエルトリコとホームアンドアウェーで対戦することになっていたが、アウェーの1試合のみを実施。ドミニカ共和国は0-1で敗れて敗退した。

◆出場資格のない選手が出場 2010年南アフリカ大会のアジア3次予選。シンガポールはウズベキスタン戦とサウジアラビア戦の2試合に国籍を変更した出場資格のない選手を出場させた。試合は0-1、0-2でともに敗れたが、FIFAの裁定で0-3での敗戦扱いとなった。

◆参加辞退で没収試合 2022年カタール大会のアジア1次予選。マカオはスリランカのホーム戦に臨む予定だったが、スリランカで大規模テロ事件が発生したため、マカオは中立地での開催を要望。だが、最終的にスリランカでの開催が認められたため、マカオは参加を辞退。FIFAは没収試合としてマカオの0-3敗戦扱いとした。

◆北朝鮮は韓国で試合せず 2022年W杯カタール大会アジア2次予選。北朝鮮は出場を途中辞退した。予選H組で5試合を消化して2勝2分け1敗。21年6月に韓国で残り3試合を実施する予定だったが、「新型コロナウイルスに対する憂慮」を理由に不参加。韓国とは19年10月に平壌で対戦して0-0で引き分けていた。FIFAの裁定で北朝鮮の試合結果は全て無効になった。