G大阪が“夏バテ”で優勝戦線から後退した。01年7月14日に勝って以来、14年も勝利から遠ざかっている鬼門の敵地東京で惜敗。日本代表ハリルホジッチ監督(63)の御前試合で、エースFW宇佐美貴史(23)は課題の守備から決勝弾を献上した。第2ステージ10位となり、2連覇へ正念場に立たされた。

 スコールのような大雨が、真夏の日差しで熱せられたピッチを打った。湿度は87%まで上昇。息苦しいほどの敵地で、G大阪が苦戦した。前半15分に先制され、後半2分にようやく日本代表DF米倉のアシストで同点に追いついた。勝敗を分けた場面は、その11分後に訪れた。中央付近で東京MF米本が突破を図る。競り合っていたFW宇佐美が、途中で追うのを諦めた。そのまま速攻を許し、決勝弾を与えてしまった。

 モヤモヤする敗戦だ。長谷川監督は冷静な口調だったが、敗因をばっさりと指摘した。

 「負けるべくして負けた。集中力を切らしてしまった。東京のカウンターに対するリスク管理が甘い。ボランチ2人が上がってしまい、(中央に絞るはずの)両サイドバックも甘かった」

 一方で、結果的に決勝弾を与える要因を生み出した宇佐美は淡々と言った。

 「一瞬(相手が)ハンドをしたと思った。流したところで、時間を与えてしまった。ファウルをしてでも止める必要があった」

 敵地東京は01年7月14日に勝って以来、14年も勝利から遠ざかっている鬼門だ。チームは超過密日程と東アジア杯の日本代表に6選手を出したことも重なり、疲労に疲労がたまった。7月以降は公式戦(スルガ銀行CS含む)8戦で2勝3分け3敗。夏場にわずか2勝しかしていない。

 第2ステージ10位に後退。年間では残り10戦で首位浦和に勝ち点11差の4位。MF今野は「守備も攻撃もバランスが悪い。今は原点に返る必要がある」。DF丹羽も「もう1度、原点回帰したい」と同じ言葉を口にした。

 昨季3冠王者が直面した苦境。今が正念場だ。これを乗り越えなければ、連覇の道は消えていく。 【益子浩一】