青森山田が“ドリブラーパラダイス”聖和学園(宮城)を5-0で圧倒し、2大会ぶりに3回戦に進出した。J1湘南入りが内定しているエースMF神谷優太(3年)が、同クラブの曹貴裁監督(46)の眼前で2戦連続ゴールを決めた。3回戦では、磐田入り内定のU-18日本代表FW小川擁する桐光学園と対戦する。

 注目されるほど、力を発揮する。それが神谷だ。スタンドから見守った湘南・曹監督の熱視線を浴びながら、2戦連発弾&1アシストで、ドリブル主体の聖和学園の息の根を止めた。「最後に1点とってチームに貢献できた。ただ勝つことだけに集中していた」。3-0の後半23分、左足でのラストパスでFW鳴海の得点を引き出すと、同39分にはスルーパスを左足で流し込み、東北決戦を圧勝に導いた。

 豊富な運動量で80分間走り続けた神谷の姿に、曹監督の目が光った。他を圧倒する走力と縦につなぐ「湘南スタイル」を確立して今季J1残留を果たした名指揮官はうなった。「前線で起点になれていて、良さが出ていた。力強さと連続性が出てくれば、すごい楽しみな選手になる」と新星に期待をはせた。

 試合後、神谷は曹監督から声をかけられた。「走れてたね、と言われました。湘南は走るチームなので、うれしかったです」。顔をほころばせながらも視線は鋭さを増し、「いいプレーを見せられなかった。まだまだ足りない部分もあるし、走り込みも足りない」とさらなる飛躍を誓った。

 チームとして2大会ぶりの3回戦では、U-18日本代表FW小川を擁する桐光学園と激突する。「1対1よりもチーム同士で戦っていきたい。裏をとられた守備を修正したら間違いなく勝てる」。昨年1月に東京Vユースから転籍してきた。最初で最後の選手権をステップに、J1で大きく羽ばたく。【高橋洋平】

 ◆神谷優太(かみや・ゆうた)1997年(平9)4月24日、山形市生まれ。4歳からサッカーを始め、小6で母由紀さんと上京。東京Vジュニアユースを経て同ユースでプレー。中3時にU-16日本代表。高1時に東京都選抜で国体少年優勝。昨年1月に青森山田高に転校。家族は両親。177センチ、69キロ。利き足は右。血液型O。

 ◆曹貴裁(ちょう・きじぇ)1969年(昭44)1月16日、京都市生まれ。京都・洛北高、早大を経て91年に日立製作所に入社。93年から柏、浦和、神戸でプレー、00年に川崎Fのアシスタントコーチに就任。05年に湘南へ入団し12年から監督。12、14年の2度J1昇格に導き、15年は残留を果たした。今オフJ2京都やC大阪からオファーがあったが続投を決めた。