31日のW杯アジア最終予選のオーストラリア戦で、昨年6月以来の日本代表復帰を狙う鹿島アントラーズFW金崎夢生(28)が全2得点に絡んだ。前半17分にMFレアンドロの先制ゴールを演出し、後半42分には右足でゴール。24日の日本代表メンバー発表に向けて視察したハリルホジッチ監督の前で躍動した。鹿島は2-0で清水エスパルスに快勝し、首位をキープした。

 金崎がスタンドで見守るハリルホジッチ監督に存在感を示した。1-0の後半42分。「最初はパスを出そうと思ったんだけどね。しっかり決められて良かった。逆にあれを決めなかったら、みんなに怒られる」。MF三竿健のパスを受けると、自ら仕掛けて相手DFを抜き去り、右45度からグラウンダーのシュート。逆サイドのポスト内側に当てネットを揺らした。視線の先の日本代表指揮官も、すぐさまメモをとるファインゴールだった。

 昨年8月に鹿島石井監督(当時)への造反行為が問題視され、代表への招集が見送られてきた。だが、代表のスタッフ会議では常に名前が挙がっている。昨季はJリーグ優勝とクラブW杯準優勝に導き、今季リーグ戦も20戦9発と好調。得点すれば公式戦25戦無敗と勝負強い。今夏、神戸からのオファーは代表復帰に向けて環境を変えないことが最善として断った。“御前試合”でアピールに成功し「鹿島で結果を出すことが代表にもつながる。調子は良いと思うので、しっかり絡めると思う。いつでも、どこでも、どんなチームでも、自分のプレースタイルで頑張りたい」。右足首痛の大迫が不安を抱える中、日本代表の救世主に名乗りを上げた。

 先月上旬には父益己さんや姉を招き、鹿島の練習場でおいやめいと一緒にボールを蹴る家族サービス。クラブハウス内で袋いっぱいの鹿島グッズを買ってプレゼントした。W杯出場を一緒に夢見てきた益己さんにはロシア行きへの熱い思いを明かしている。「喜んでもらえたらいいよね」。家族や恩師、支えてくれた人たちを笑顔にしたい気持ちが強くある。昨年6月のボスニア・ヘルツェゴビナ戦以来となる代表復帰への準備は整った。【鎌田直秀】