J1残留争い中の清水エスパルスは今日29日、リーグ6戦ぶりの白星を目指してアウェーでFC東京と対戦する。3試合無得点の攻撃陣を中心に、小林伸二監督(57)はメンバーを熟考。2月25日の開幕戦ホーム神戸戦(0-1)で左アキレスけんを断裂したMF河井陽介(28)が、約8カ月ぶりにリーグ戦のピッチに立つ可能性が浮上した。28日は清水三保グラウンドで最終調整を行い、敵地に入った。

 河井が東京戦に出場すれば、リーグ30戦ぶりの復帰になる。だが、非公開練習を終えた本人は、普段通りにひょうひょうとしていた。「コンディションは8~9割。90分まで(プレーが)描けているわけではないけど、行けるところまでいく。自分のできることをしようと思います」。

 清水はアウェー東京戦では3連敗中。12年4月28日の対戦では、清水が2人退場者を出しながら、1回のチャンスを決めて1-0。ベンチ入りしていた河井も「覚えている」と口にするほど奇跡的な勝利だった。そして、今はJ1残留のために5年ぶりの白星が欲しい状況で、河井は「きれいなサッカーではなく、勝ち点を取りに行くサッカーになる。しぶとくいく」と話した。

 得点を奪わなければ、勝利はない。守備重視の戦術で、チームは3試合無得点。小林監督は選手起用を熟考しており、試合前日では異例の10対10での戦術練習を敢行したという。練習後には「堅い守備の中で、勝ち点3を取りたい。ボールを収めて、回せる選手が必要」とメンバー変更を示唆した。攻撃の起点として長短のパスを出せる河井については、先発を明言せずも「前が見えている選手。勇気を出してやってほしい」と期待を口にした。

 残り4戦。14位清水が残留争いから抜けるためには、勝利が必要だ。前節リーグ19戦ぶりに復帰したDF犬飼智也(24)は、右ひざを痛めて別メニュー調整を挟んだが、問題はなく「勝ち点3を取りにいかないといけない。自分の役割をしっかりやる」。チーム全員が目指すのは、完封勝利だ。【保坂恭子】