2年連続で開幕戦の晴れ舞台を経験した関東第一(東京B)は、佐賀東の堅実なサッカーの前に攻撃陣が不発に終わった。

 試合後の小野貴裕監督(37)は、1つ1つの質問をかみしめながら丁寧に応じた。「あれだけのお客さんが入った開幕戦で試合をすることが出来て、本当に立派に戦った両チームの選手は立派でした。当然、開幕戦は目立ちますし勝てば大きな自信になりますし、負ければいろんなことを言われると思います。しかし、負ければそれはすべて私が引き受けることです」。

 前半を両チーム無得点で折り返したが、佐賀東が後半から主将MF江頭を投入してリズムを変えて先制に成功。対する関東第一は攻撃の中核を担うMF重田が頭を打ち退場するアクシデントに見舞われ、選手交代でも流れを変える一手は打てなかった。

 試合終了のホイッスルが響くと主将のDF小野凌弥(3年)は芝生に突っ伏して泣いた。小野監督は「あいつのあんな姿ははじめてみた」と、驚いたほど敗戦のショックに打ちのめされていた。小野は「初戦を突破して上に行く自信があったからこそ、終了のホイッスルを聞いて力が抜けてしまいました。どこにあれだけたまっていたのかというくらい、涙が出てきました。悔しい分だけあふれ出たのだと思います」と、号泣した場面を振り返った。

 すぐに佐賀東の主将MF江頭が、芝生に倒れ込んだ小野の背中をさすりながら言葉をかけ、小野は何とか試合後の整列に間に合った。江頭は「抽選会で話しただけですが、あいつも主将として苦しかったと思う。その中で一緒に戦うことができて、ありがとうと言いました」と、同じ主将の重圧を背負う者同士の思いを口にした。

 選手権大会での上位進出が期待された関東第一だが、地元開幕戦勝利を飾ることはできず、今大会最初の敗者として大会を去った。