<半端ない青春~高校サッカー・クローズアップ>

 0-1の後半20分過ぎ。黒いヘッドギアをつけた日本文理(新潟)のDF田中拳斗(3年)は、パワープレーで前線に上がった。左額の頭蓋骨陥没骨折の負傷が完治せぬまま頭で競り合い、得点を最後まで狙った。「まだ、患部はへこんでいる。怖さも多少ある」と話したが、試合中は闘志をむき出しにボールを追った。

 9月18日のプリンスリーグ北信越の北越(新潟)戦で相手の後頭部が額に当たった。救急車で運ばれ、脳外科で2日間の検査入院。手術が必要だったが、復帰に日時を費やすため回避した。当面は自然治癒力に頼り、選手権県予選の期間中に医師の出場許可が出た。「全国に絶対、出たいと思っていた。ただ、ここまでくるとは思わなかった」。手術日は15日。選手権の初出場が、実現する前から出場を想定して日程を組んだ。手術は頭蓋骨を開いて人工骨を埋め込む。【涌井幹雄】