ベテランが健在をアピールした。北海道コンサドーレ札幌MF稲本潤一(38)が23日、沖縄・金武町で行われた練習試合のJ2千葉戦で、ボランチとして90分間フル出場した。0-4で敗れはしたが、ケガで別メニュー調整の主力が相次ぐ中、安定感のあるプレーを見せた。1カ月後に迫ったリーグ開幕まで、状態をさらに上げていく。

 試合終了のホイッスルを聞くまで、稲本はボールを追った。練習試合のピッチで最後まで戦い抜き、心地よい疲労感を味わっていた。「この時期に久しぶりの90分間。運動量、質はまだまだだけど、ケガなく終えられて良かった。38歳でね」と笑った。開幕まで1カ月。今季実戦2試合目でフルタイムをプレーすることに喜びを感じている。

 若手に負けていない自信がある。ペトロビッチ監督に対し「(年齢は)関係なく平等に見てもらっていると思う」と感じている。だからこその90分間の起用だと、理解している。チームはこの日午前に千葉、午後に全北現代(韓国)と、2試合を行った。FWジェイやMF小野、宮沢、DF福森らが別メニュー調整で出場を回避。千葉戦は急きょ地元の琉球大生をメンバーに加えた。主力にケガ人を抱える中、連日順調に全体メニューを消化しているベテランの頼もしさがある。

 ケガに泣いてきた分、今季にかける思いがある。16年6月に右ひざの大ケガを負い、昨季もキャンプ中に離脱した。公式戦のフル出場は、16年4月29日J2徳島戦以来遠ざかる。この日の千葉戦はミスから失点を重ねた。攻守に奮闘した稲本は「練習でやってきた攻撃ができたし、すごくいい試合だった。悲観するような内容じゃない。ここからさらにコンディションを上げていきたい」。元日本代表の意地は、これからさらに発揮されていく。【保坂果那】