【ホノルル(米ハワイ州)10日(日本時間11日)=保坂果那】北海道コンサドーレ札幌は、パシフィックリム杯決勝(アロハスタジアム)で米プロリーグMLSのバンクーバー・ホワイトキャップスを1-0で下し、優勝した。キャンプでのミハイロ・ペトロビッチ監督(60)によるチーム改革がスタートして約1カ月。“初タイトル”は取り組みの成果となった。

 札幌が常夏の島で頂点に立った。MLS所属の相手への声援が多いなか、決勝を制して優勝トロフィーを手にしたのは赤黒ユニホームだった。「選手がこのタイトルを取れたのは私自身非常にうれしい。この2試合、かなりのパワーを注ぎ込んでくれたと思うので報われた」。試合を終えて時間がたっても、ペトロビッチ監督のほおは緩んでいた。

 常に攻めた。前半は両チーム無得点も、コーナーキックの数は相手を上回り、敵陣へ攻めていたのは札幌だった。それでも練習試合で0-4で完敗した相手に苦戦。3-2の点の取り合いで勝利した1回戦のコロンバス・クルー戦とは変わり、試合は動かないまま我慢の時間が続いた。だが、後半40分。DF福森のFKを相手GKがはじき、FW内村のヘディングからFW都倉が決勝ゴールを押し込んだ。「おまけみたいなゴールだったけど、自分のゴールで優勝を決められたのはうれしい」。この日ベンチを外れたFWジェイと1トップのレギュラー争い中の背番号9は、ほっとした様子だった。

 素早いパス回しから展開する攻撃的サッカーがミシャ流。沖縄からキャンプ地をハワイに移しても、チームへの浸透を図り、練習で繰り返した。ワンタッチなどの制限を設けたパスでチャンスを作るプレーは試合でも発揮されていた。練習試合では2勝5敗となかなか結果が出せていなかった。ペトロビッチ監督は「終わり良ければ全て良し。自信になる」と、国際大会での載冠に、一定の評価を与えた。

 今日11日(日本時間12日)に帰国し、翌日からはリーグ開幕に向けた熊本キャンプがスタートする。「監督の目指しているサッカーの精度を上げ、今日得た成功体験を意味のあるものにする」と都倉。1カ月、チームが走ってきた道は間違いではないと確信できた。このまま開幕まで加速していく。

 ◆パシフィックリム杯 今回が初開催のトーナメント戦で、日本から札幌、地域リーグ・東北社会人リーグ2部のいわきFC、米国、カナダのプロリーグ、メジャーリーグサッカー(MLS)からコロンバス・クルー、バンクーバー・ホワイトキャップスの4チームが参加。ハワイでJクラブとMLSクラブが対戦するのは6年ぶり。