俺がエースだ! ジュビロ磐田がホームで浦和レッズに2-1。FW川又堅碁(28)の2ゴールで、今季初の逆転勝利を飾った。川又は、0-1の前半45分に今季第1号の同点弾を決め、後半36分には勝ち越し弾。右膝の大けがでMFアダイウトン(27)が離脱した中、チームを2試合ぶりの勝利に導いた。7日の次節、静岡ダービーにも弾みをつけた。

 駆け寄る仲間を振り切り、川又が笑顔で名波浩監督(45)のもとに走った。0-1の前半45分、DF高橋祥平(26)の落としに反応。DFの死角から飛び込み、左足のトラップで抜け出すと、左足のアウトサイドで鮮やかに決めた。開幕5戦目。待ちに待った今季初ゴールに、感情を抑えられなかった。

 「ずっと迷惑をかけてきた。FWは(点を)取れないと本当にしんどい。良かった。らしくないうまいゴールだったけどね」

 指揮官も「今季、一番難しいシュートを素晴らしいタイミングで決めてくれた」と笑った。だが、これはエープリルフールではなく、川又を乗せるリアルな一撃になった。後半36分。相手のミスで生まれたこぼれ球を拾い、ドリブルから左足を振り抜いた。「シュートを打たなければ入ることもない」。言葉通り、ボールはDFに当たり、ループ軌道を描きながらゴールに吸い込まれた。直後、後頭部を指さした。前節広島戦で、右膝に大けがを負ったアダイウトンの頭文字と背番号を意味する「A15」と刈り込んでいるからだ。

 「一番つらいのはアダ」。川又は離脱した相方の分まで結果を残すべく、約2週間のリーグ中断期間はシュート練習に明け暮れた。この日はアダイウトンも会場に姿を見せており、川又は「喜んでくれて本当に良かった」と笑みを浮かべた。

 覚めたエースに引っ張られ、チームは3戦負けなし。左大腿(だいたい)二頭筋肉離れで離脱していたMF中村俊輔(39)も後半30分から出場し、復活を印象づけた。名波監督は「ビッグマッチを前に3ポイント取れたことは大きい」。次節は静岡ダービー。宿敵を破る勢いはついた。【前田和哉】