FC東京が2季ぶりの4連勝で3位に浮上した。

 鹿島アントラーズに2-1の逆転勝ちに導いた立役者は、右サイドバック(SB)室屋成(24)だった。まずは1点を追う前半39分、同点とする。ペナルティーエリアに進入して鋭い右クロスを出すと、DF植田の胸に当たってゴールに吸い込まれた。同い年のリオ五輪代表チームメートからオウンゴールを誘発すると、勢いを増す。1-1の後半10分、右サイドを自陣から爆走しFW永井のヒールパスで抜け出すと「あとは強く振り切るだけ」と豪快にGKの頭上を射抜いた。ゴール上段にうれしいJ1初得点を蹴り込んだ。

 今季就任した長谷川監督から荒療治を受けた。昨季まで不動の先発も、3月にスタメン落ち。19歳の岡崎に定位置を奪われた。新指揮官が求める「堅守」を意識しすぎて消極的になっていた。外された後、長谷川監督から「もっと攻撃的な男だろ」と個別にアドバイスされ「めちゃめちゃ攻撃したる」と開き直った。2得点に絡む活躍。「(監督から)あおられるんで」と守備でも奔走し、指揮官から「無尽蔵の体力で貢献してくれた」と称賛された。

 昨年12月の東アジアE-1選手権ではA代表に初招集された。北朝鮮戦で先発デビューしたものの、ハリルホジッチ前監督から「不用意なファウルが多すぎる」と怒られた。3月のベルギー遠征は呼ばれなかったが、右SBは浦和宇賀神らが“不合格”。西野新監督になってチャンスが広がる中で「チームが好調なら可能性もある。勝ち続けることで選ばれれば」。リオ世代のレギュラー右SBが存在感を増した。【木下淳】