戦う男が戻ってくる。ベガルタ仙台のMF奥埜博亮(28)が、今日2日のアウェー・ガンバ大阪戦で先発復帰することが濃厚となった。1日、仙台市泉サッカー場で最終調整に臨んだ奥埜は、MF富田晋伍(31)とダブルボランチを組んだ。安定したボール奪取力を発揮するなど復調をアピール。3月31日のホーム長崎戦で左膝靱帯(じんたい)を損傷したが、約1カ月の離脱から完全復帰。昨年ゴールを決めた思い出の吹田スタジアムで暴れまくる。

 ぶっつけ本番となる不安はない。奥埜は「まずは、トレーナーの努力で早期回復できたことを感謝したい」と周囲のサポートに頭を下げた。そして「今やれることを最大限に出して戦いたい。バランスを考えてプレーして、攻撃を活性化できれば」と静かに闘志を高めた。

 奥埜の離脱後、チームはリーグ戦6試合で10失点、うち4試合で複数失点を喫した。戦線離脱までリーグ最多のタックル数(25回)をマーク。1対1での球際の競り合いを示すデュエル数(78)も最多で、勝率も断トツの数字を出している。個人の守備力としてはリーグ最強を誇る戦士の復活で、立て直しを図る。

 奥埜 前線の選手が厳しく寄せてくれるので、相手の選択肢も制限される。チームで連動して守って、タックルでボールを奪い切れれば。敵陣でボールを奪えればよりチャンスが増える。一体感のある守備からいい攻撃につなげたい。

 渡辺晋監督(44)は「個でボールを奪えるところは富田に追いつく勢い。2人がそろえば守備のところは計算できる。よさを十二分に発揮してくれれば、チームの勝利に結びつくと思う」と期待を寄せた。

 吹田スタジアムのアウェー戦は昨年10月、GK関憲太郎(32)のビルドアップから11人全員がボールタッチし、昨季リーグ最多となる28本のパスを経て右足でミドルシュートを突き刺した思い出の地でもある。奥埜は「相性もいいし、雰囲気もいいスタジアム。自分たちがボールを保持することも大切だが、崩し切って点が取れれば」。久々の実戦でもイメージはできている。【下田雄一】