プレナスなでしこリーグのINAC神戸GKで、U-20(20歳以下)日本女子代表スタンボー華(はな=19)が14日、とっておきの裏話を披露した。

 クラブは前日13日に動画「INAC TV ♯21」を公式サイト上で公開。そこではスタンボーとFW島袋奈美恵(20)、京川舞(24)と道上彩花(23)の両FWがそれぞれペアとなり、神戸の中華街「南京町」で、ファンに贈るプレゼントを探して、対決している。動画では、両ペアが知恵を絞って見つけたプレゼントを発表。SNS上での投票により、負けたペアは費用5000円が自腹になるという企画だ。

 その中で、ドイツ系米国人の父を持つスタンボーの、お笑いキャラクターぶりがさく裂。他の3選手もピッチ外ならではの言動や、素の表情で企画を盛り上げている。さらにスタンボーはこの日、神戸市内での練習後に、オンエアされなかった裏話も披露した。

 「ロケの日は私服だったんです。それでも服にピンマイクをつけて、カメラが回っているから、周りの人にすごく見られて…。修学旅行生がたくさんいたんですよ。『INACの選手だ』って気付かれないかな…と思って歩いていたんです。『ぶっちさん(なでしこジャパンFWの岩渕真奈)だったら、すぐ気付かれるんだろうな~』とか…」

 南京町を歩いた時間は約1時間半。すると、その間に修学旅行生の興奮したような声が耳に入ったという。「あれ、絶対にそうだって!」。続く言葉を「『INACの選手だ』かな?」と考えたスタンボーは、注意深く聞いてみた。

 「見て見て! あれ、絶対に(テレビ東京系列の)『YOUは何しに日本へ?』だよ」

 身長175センチと頼もしいスタンボーが、これには思わず吹き出したという。「(知名度のなさを)実感しました。確かにその子、おもしろかったんですけれど、女子サッカーをもっと知ってもらえるように頑張ります」。相手ペアの京川も「あれ、恥ずかしすぎて、自分で見られないんです」と苦笑いする動画企画。そんな体を張ったファンサービスはもちろん、本業のサッカーにも、さらに意欲を高めている。

 チームではリーグ戦出場機会をつかめていないスタンボーだが、12日に発表されたU-20日本代表のイングランド遠征(19~25日)ではメンバー入りを果たした。JFAアカデミー福島から入団2年目となり、GKを争う武仲麗依(26)には「左右にしっかりと蹴れる」ところを学び、元なでしこジャパン福元美穂(34)からは「経験からくる声出しと、相手の動きの予測」などを盗み、先輩選手の良い点を参考にしながら力を高めてきた。23日にはU-23イングランド女子代表との親善試合も予定されており、モチベーションは高い。

 「INACに入って、相手がガンガン来る中での、裏を見る余裕ができた。ロングキックの精度が上がってきたと思います。シュートストップは変わらず、自分の強みとしてやっていきたい。海外の選手とやるのは代表だからこそなので、しっかりとプレーしてきたいと思います」

 修学旅行生に取られた笑いの“一本”。そんな思わぬ一声もモチベーションとし、1歩1歩高みを目指していく。【松本航】