岩手県立大の伊藤慶明教授(知能情報学)の研究チームは、サッカー選手がペナルティーキック(PK)を蹴る動作を人工知能(AI)に学習させ、ボールが左右どちらに飛ぶかの予測を約8割の確率で的中させた、と発表した。

 研究成果を基に、ゴールキーパー(GK)がキッカーの蹴り分けを判別できれば、PK阻止率を上げられる可能性がある。

 伊藤教授は「ワールドカップ(W杯)などの大舞台でも研究成果を応用できるよう分析を続ける」と意気込む。

 同大サッカー部の監督も務める伊藤教授。盛岡市の強豪高校のサッカー部員35人に右足で左右に向けて1回ずつ蹴ってもらったPKを撮影し、AIに学習させた。

 右足を引いた瞬間とボールを蹴る瞬間の、全身の骨格25カ所が動いた距離や角度、方向から左右の蹴り分けを判断させると、AIは81・7%の確率で的中させた。高校生GKが正しい方向に飛べた確率は50%で、これを大きく上回った。

 右キッカーによる蹴り分けでは、右膝の曲がり方、左手の上がり方の差が大きいことが判明。研究チームは今後、右脚と左手の動きの詳細な解析を進める。伊藤教授は「上下の蹴り分けも学習させれば、ボールが飛ぶ方向をさらに詳しく予測できる」としている。

 英BBCがまとめたデータによれば、1930~2010年のW杯で、GKがPKを止めたのは18・6%だった。