ヴィッセル神戸のFW増山朝陽(あさひ、21)が貴重な決勝点を挙げた。後半21分、左サイドを抜け出したFW郷家に反応し、中央で受けたパスを右足で流し込んだ。

 今季5試合目で初ゴールを挙げ「チーム自体の競争が激しい。どの選手も虎視眈々(たんたん)と自分のチャンスを狙っている。僕のゴールで勝ててうれしい」と素直に通算2点目を喜んだ。

 東福岡高時代から世代の顔として注目され、ポルトガル代表FWロナウドと重ねて「ヒガシのCロナ」と評されてきた。そんな増山にとって最近の驚きは、新加入のスペイン代表MFイニエスタ。練習でもパス交換をするシーンが多くあるといい「僕のタイミングでパスが出てくる。今まではあまりなかった。(出し手が)見てくれてはいるけれど、出てこなかったことが多かった。リスクがあっても、それでもイニエスタは出してくる。イメージ通り出てくるから、楽しいですよ」と声を弾ませた。

 普段のイニエスタは、増山によると「淡々とプレーしている」。それでもイニエスタから話しかけてくることも多いという。

 「数字とかを日本語で話していると『それ、どういう意味?』と聞いてくる。後は(サッカー用語の)『フリー』っていう言葉を使っている時もそうでした。向こうでは『ソロ』っていうみたいで、『ターン』とか『スルー』とか、そういう言葉も聞いてきて、僕らに合わせようとしてくれています」

 今回のゴールはイニエスタからの直接のパスではなかったが、オフサイドになったものの、決定的なパスを受けるシーンもあった。連係がさらに深まれば、楽しみなコンビとなりそうだ。