試合前だった。ホームの鹿島アントラーズに思わぬアクシデントが襲った。先発予定だったGKクォン・スンテが練習中に脚を負傷。急きょ、2日に39歳の誕生日を迎えた曽ケ端準がゴールマウスを守ることになり、GK川俣慎一郎が控えに入った。

 19日間で6試合目の過密日程とあって、その曽ケ端も含めて前節から先発を6人入れ替え。新加入のDFチョン・スンヒョンもセンターバックとして、古巣清水エスパルスと初対戦となったDF犬飼智也と組んで移籍後、初先発を果たした。

 一方の清水はリーグ再開後、18チームで唯一、3戦全勝中。その清水が先に決定機を迎える。前半15分、DFチョン・スンヒョンのマークを外したFW北川航也がMF金子翔太からの速いパスに胸トラップで抜け出て、GKと1対1に。だが、右足のシュートはヒットせず、右に外れた。

 鹿島もその1分後、今季リーグ初先発のFW金森健志が相手陣内でMF白崎凌兵からボールを奪い、GKと1対1に。しかし、こちらもシュートを打ちきることができずに防がれた。その後は互いに堅い守備で決定機を許さずに前半を終えた。

 後半に入ると、清水はポストに嫌われた。9分に相手CKからのカウンター攻撃から、北川が切り返して左足で巻いたシュートを放った。GK曽ケ端も見送るしかなかったボールはしかし、左ポストに嫌われた。

 30分には、今度は途中出場のMFデュークが右足で狙うも、右ポストにはじかれた。

 前日にチームに合流したジーコ・テクニカルディレクター(TD)が見守った鹿島は、安部裕葵、土居聖真を投入して活性化を図る。すると後半ロスタイム、MF永木亮太のFKをチョン・スンヒョンが頭で折り返したところを、DF西大伍が右足ボレーで劇的なゴール。この1点を守りきり、鹿島が3試合ぶりの勝利を飾った。ジーコTDの御前で、伝統の勝負強さが復活した。

 一方、清水は4シーズンぶりの4連勝はならなかった。