札幌大谷(北海道)が作陽(岡山)を下し、2年ぶり5度目出場で初勝利を挙げた。0-1の後半37分にPKを決めて追いつき、PK戦はGK畠山諒介(3年)が相手4人目を止め、5人目のキッカーとしてもゴールを決めて決着をつけた。15年度の選手権1回戦勝利が全国大会の最高成績だったが、3回戦進出を決めたことで創部10年目のメモリアルイヤーに初の全国ベスト16を決めた。

 はね返されてきた全国の壁を1つ越えた。PK戦を制しての総体初勝利。札幌大谷の田部学監督(44)は「(選手が)あきらめることなく、やり続けた結果です」とたたえた。12年の初出場から5度目の挑戦でつかんだ夏1勝は、選手権を含めても同校初の16強入りだ。

 耐えて、つないだ。予想を超える強い風で前半はリズムを狂わされた。パスで相手DFの裏を狙う攻めを模索するも向かい風に押されつながらない。反対に自陣に攻め込まれる防戦の末、ロスタイムにPKで先取点を献上した。

 「後半は逆の立場になる」。指揮官の思惑通り、後半は敵陣で好機を立て続けに作り続け、終了間際の37分にPKで追いついた。道予選決勝と同じPK戦へ。「自分が止めたら、後は決めるだけ」。GK畠山が相手4人目のシュートを止めると、自ら5人目のキッカーとしてゴールをたたき込んだ。

 全国で白星を挙げるためにトライし続けた。昨冬、メンタル講師を招き2度の講習を実施。この日のPK戦前にチーム全体で一斉にじゃんけんをした後に結果に問わず喜ぶ「勝利の儀式」はその1つで「勝って喜ぶイメージで楽しくいけた」と畠山。先月末にスポーツメーカー主催のカップ戦で青森山田ら強豪校と実戦を重ね、今大会直前はフットサルの全国大会に出場した。チームに帯同する栄養士から、体作りも学んだ。心技体を磨き続けた。

 校内に人工芝グラウンドを造成中で、田部監督は「1つ勝てた。環境もできてきた。トップを狙えるクオリティーを上げていきたい」とした上で、今日9日の昌平(埼玉)との3回戦に関して「それにつながる試合にしたい」と言った。勝てば、また1つ新たな歴史が加わる。【浅水友輝】