J2東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)は、18日の大分トリニータとのホーム戦から先発全員を入れ替えて臨んだJ1浦和レッズ戦で惜敗し、「全体的に良いプレーが出来たのは満足している。もちろん、良い負けはないが、その中でも満足できることがあった」と一定の評価を下した。

 具体的には「前半はボールを持って、いいプレーだけじゃなく、集中した良い守備が出来た。後半は、より拮抗(きっこう)した試合となったが、それでもボールを持って攻撃することが出来た。前半ほどチャンスを作ることは出来なかったが、思っていたプレーが出来た」と語った。その上で「長い時間、プレーをしていない選手たちで戦って、強いチームを相手にいいプレーが出来た」と、控え組で浦和と一進一退の戦いが出来たことに手応えを口にした。

 この日、先発した選手たちはリーグ戦で出場機会に恵まれていなかった。GK柴崎貴広(36)、対戦相手の浦和で16年までプレーした元日本代表DF永田充(35)のベテラン2人は今季1試合も出場しておらず、公式戦は7月11日の天皇杯3回戦・関西学院大戦以来だった。ロティーナ監督が「我々にとってメッシのような選手」と語るMF井上潮音(21)も、リーグ戦で17試合に出場も定位置確保には至っていない。ロティーナ監督は25日のジェフユナイテッド千葉戦について聞かれ「今日、プレーした選手は回復に時間がかかる。スタートから出るのは難しい。プランをこれから決めていく。変更もあるかも知れないが、基本的にはこの間、リーグ戦に出た選手が出ると思っている」とリーグ戦での序列は変わっていないことを示唆した。

 一方で、「メンタル面では、リーグ戦で出場機会の少ない選手がたちが良いトレーニングを続け、今日、良いプレーが出来たことはチームにいい影響を与えると思う。我々スタッフにとっては心強い。プレーしていない選手たちも、自分たちの1つのやり方、フィロソフィーを理解して、プレー出来る状態にあるからだ」と、奮闘した控え組を評価した。

 リーグ戦は、千葉戦を含めて残り13試合で、J1昇格プレーオフ圏内の6位につける。その状況の中、控え組の奮闘によるチーム内競争が、今後のリーグ戦に向けたチームの底上げにつながるか? と聞かれると、ロティーナ監督はうなづいた。

 ロティーナ監督 そうですね。我々は1つのやり方でトレーニングしている。トレーニングしているやり方で試合でプレーする。試合でプレーするやり方をトレーニングするために、トレーニングを組み立てている。何が出来るかというと、全ての選手たちのプレーが良くなるだけでなくチームのやり方を理解する。理解は切り替えも含めて、全ての局面で何をするべきかというのを理解するためのトレーニングをしている。

 ロティーナ監督は、そこまで語った後で「ちょっと通訳が疲れているので、今日はこの当たりにしようと思う」と言い、笑みを浮かべて会見場を後にした。会見開始から、10分が過ぎていた。【村上幸将】