ベガルタ仙台は浦和レッズに1-1で引き分け7位に浮上した。0-1で迎えた前半40分に、DF板倉滉(21)がMF野津田岳人(24)からのFKを頭で流し込み、値千金の同点ゴールを奪って、浦和戦の連敗を6でストップさせた。勝ち点で並ぶ浦和との大一番には今季最高となる1万8276人が詰めかけた。

MF野津田、DF板倉の「レンタルコンビ」が、台風一過のユアスタに歓喜を呼び込んだ。FW阿部拓馬(30)がペナルティーエリア外の左45度付近で倒されFKを奪うと、2人はタッチライン際に歩み寄った。水分を補給しながら、浦和対策で繰り返してきたサインプレーを実行することを確認。野津田がニアサイドに放ったボールを、完全フリーで後方から走り込み、ダイレクトで頭に合わせてゴール右隅に流し込んだ。

地鳴りのような歓声が湧き、喜びを爆発させる板倉に野津田が飛びついて祝福した。板倉は「ガク君(野津田)からここしかないというところにドンピシャのボールがきた。位置もスピードもばっちりでした」。野津田は「(ニアサイドが空く浦和対策の)サインプレーです。練習通りにうまく決められました」と、してやったりの表情だ。

J1トップの経営規模を誇るビッグクラブとの対戦。チーム人件費がJ1最下位レベルの仙台が、残り5節で勝ち点42で並んでいる。9月に監査法人デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が発表したデータでは、勝ち点1当たりのチーム人件費、同じく入場料収入の総計で表される「経営効率」で、仙台が最もコストパフォーマンスが良いクラブという結果が出た。

川崎Fから板倉を、広島から野津田と将来有望な若手をレンタル移籍で呼び、育て上げてきた渡辺晋監督(44)と強化スタッフの努力が実りつつある。試合後、敵将のオリベイラ監督(67)は「選手たちに注意を促していたが相手の質が上回っていた」と失点シーンを悔やんだ。試合前には、選手バスを大勢のサポーターが出迎えた。残留争いでおなじみのシーンだ。残り5節、トップ5入りの目標達成へ向け一丸となって戦う。【下田雄一】