互いに負けられない一戦は引き分けに終わった。清水エスパルスは試合前に取締役副社長兼ゼネラルマネジャーの久米一正氏(享年63)が大腸がんのため、死去したことを発表。選手入場時のスタンドには「久米さん、清水に戻ってきてれてありがとう」という横断幕が掲げられた。

ヴィッセル神戸にとっても特別な一戦だった。15日に胃がんのため亡くなった藤川孝幸さん(享年56)は神戸で4年間GKコーチを務めていた。両チームの選手たちは試合前に黙とうがささげ、故人をしのんで喪章を巻いてプレーした。

試合は神戸が先手を取った。前半26分、MFイニエスタが絶妙な浮き球パスを供給。エリア内に走り込んだMF藤田が左足ダイレクトで合わせて先制した。1点を追う清水は同39分、敵陣でボールを奪ったMF河井がドリブルし、右サイドのMF金子に展開。ボールを受けた金子が折り返したボールを河井が右足で押し込み同点とした。

後半は神戸が追加点を奪った。同7分、FKのこぼれ球を拾ったDF伊野波が左サイドから中央へクロス。ファーサイドでFW古橋がヘディングで合わせて勝ち越した。同17分にはMF三田が左サイドから上げたクロスがそのままゴールに吸い込まれて、3点目。同38分にはMF藤田が2枚目の警告を受けて退場した。 数的優位となった清水は同42分にFWドウグラスが右クロスをヘディングで合わせて1点差。同ロスタイムにはMF河井が接触プレーで頭部を強打し、そのまま負傷退場。さらにDF立田も負傷してピッチを退いたが、このまま終わらなかった。

左CKのチャンスで清水GK六反がゴール前に上がると、ヘディングで合わせて同点とした。その後は審判の判定を巡って両チームの選手がヒートアップ。FWウェリントンが退場した際には清水GK六反を投げ飛ばす蛮行に出た。試合は3-3でドロー。スタンドからは審判に対して大ブーイングが起こり、後味の悪い試合となった。