2年連続6回目の出場で昨年度準Vの流通経大柏(千葉)が、苦しみながら徳島市立(徳島)に逆転勝ちし、初戦を突破した。

前半はシュート3本と攻めあぐね、後半16分にハーフウエー付近から徳島市立のFW岡健太(3年)のドリブル突破を許し、先制のミドルシュートを決められた。だがエースのMF熊沢和希(3年)は「先制されても大丈夫な雰囲気がチームに流れていた」と慌てず、4分後にゴール前の混戦で自ら同点弾を押し込んだ。さらに同31分にはPKをもらい、勝ち越し弾をゴール右上に決めた。

本田裕一郎監督(71)は「今までの経験から、初戦は必ず五分五分の戦いになる。その中でも入り方は悪くなく、失点してもバタバタしなかった。PKもラッキーだったけど、後半は怖がらずもっとペナルティー内に入れと言い続けたので、それがあってのPKにつながった」と振り返った。

本田監督は昨年8月のドイツ、オーストリア視察で最先端のデータシステムに感銘を受け、3万円以上のGPS機器を15台購入。ピッチに立つ出場選手全員に装着させ、走行距離やボールタッチ数などの数値を収集し、戦術に役立てる。すでに30~40試合で活用し、80分間でフル出場した1人平均の走行距離は10~11キロに達している。

本田監督は「Jリーグの選手と同じくらい走る。メーカーの人からも『高校生レベルではない』と言われました。今の高校生は数字に敏感。感覚的なことも数字で裏付けされるので、子供たちも納得する」。IT技術をスパイスに加え、11大会ぶりの頂点へ歩を進める。