サガン鳥栖の金明輝(キム・ミョンヒ)新監督の公式戦初戦は引き分けに終わった。前日に途中就任が発表されたばかりで、この日が38歳の誕生日。だが、サポーターの「令和初のホームで金明輝新監督誕生日おめでとう」と掲げたボードのエールも勝利に届かなかった。

J1開幕から1勝1分け8敗、総得点わずか1からの巻き返しを図る上で、試金石となったルヴァン杯柏レイソル戦だった。だが課題の得点力不足は相変わらずで、新指揮官は「いい形で奪って攻撃というとこまで至らなかった」と反省。それでも「ゴール前に行く回数とか、セットプレーを奪って放り込む回数を含めてゴール前に行く回数は増えている。もう少し精度を上げたい」と、11日に控えるJ1G大阪戦へ前向きにとらえた。

目指すスタイルについては、カレーラス前監督がこだわったパスサッカーに対し「ポゼッションとかカウンターとかではなく、ゴールを奪うための道筋を選手と一緒に共有することで、パスを細かくつなぐとかロングボールを蹴るとか、そういう部分もすべて融合しながら、相手を見て僕たち主導でサッカーをしていく。相手主導ではなく」という。過去に強みとしていたロングボールの比重増やクロスの精度向上などを得点力不足解消のカギに掲げていたが、まだまだ不十分だった。

金明輝監督には、昨季も5試合を残してコーチから昇格しJ1残留に導いた手腕がある。だが選手の中には危機感がいっぱい。FW豊田陽平(34)はその奇跡を引きあいに「(今季も)なんとかなると思ってはいけない。自分たちが本当に変わらないと、監督が変わっても何も得られない。明さん(金明輝監督)は大変だと思います」と表情は険しかった。