Jリーグは東京都内で12日、さまざまなデジタル技術と保有データなどを駆使してスタジアムの臨場感を屋内施設で再現する「Jリーグ デジタルスタジアム」を初開催した。

359人が参加。ホールの正面に設置された5台のスクリーンで、鹿島アントラーズ-ヴィッセル神戸(ノエスタ)を見つめた。

至れり尽くせりの環境が作り上げられていた。正面にはスクリーン5台が設置。中央に置かれた縦4メートル、横17メートルのワイド画面は、特設4Kカメラ5台を使用した「横12K超ワイド映像」で、ピッチ全体が一望できる特別画面。その両脇には22台のカメラでとらえた現地映像を、さらにその隣には布陣イラストやデータなどの情報が試合状況をみながら適宜表示されていた。音響も迫力十分で、ドルビースピーカーを平面と天井を合わせて26個設置。サポーターの歓声など、360度から臨場感あふれる音源が届けられた。

村井満チェアマンは「Jリーグの『Jふろしき』という表現をしているのですが、Jリーグで保有する数多くの映像データだったりスタッツだったり、さまざまな静止画だったり、Jリーグが保有するデータをいかにお客様に還元するかというのをずっと考えていたのですが、今日初めてデジタルスタジアムを、ある意味で実験なのですけども行うことができました」と笑顔で振り返った。

今後については「具体的に収益モデルとかお客様の声とか踏まえながら検討を重ねていこうと思っています」としながらも「サッカーの醍醐味(だいごみ)というのは『うわー』という臨場感。迫力のある映像だったり歓声だったりがスタジアム以外で体験できるかというのが1つの大きなテーマだった。1つの手応えを感じたと思っていますので、これからもっともっとレベルを上げて多くのファンにお届けしたいと思っています。とてもいい経験ができました。1つ明確に思えたのは、スタジアムは入場数の収容数以上のお客様は今まで入れないという固定概念がありましたけども、満席のゲームなんかも広げていける可能性が見えてきました。Jリーグとして、クラブにとってさらなる収益の拡張が具体的に見えましたので、大きな可能性は手にしたなと思っています」と成果を口にした。