J1鹿島アントラーズの筆頭株主となったメルカリ社(東京都港区)が30日、東京・文京区のJFAハウスで記者会見を行った。同社の小泉文明社長兼COO、鹿島の庄野洋社長、日本製鉄の津加宏執行役員が登壇した。メルカリはフリーマーケットアプリなどの運営を手がけるIT企業で、17年4月に鹿島とオフィシャルスポンサー契約を締結。この日の取締役会で鹿島の株式61・6%を取得する決議をし、日本製鉄と合意。同日にJFAハウスで開かれたJリーグ理事会で報告され、承認された。

主な質疑応答は、以下の通り。

-譲渡にあたって、メルカリ社を選んだ理由は。赤字決算はネックにならなかったのか

津加執行役員 ひとつは本拠地は鹿嶋、ホームスタジアムはカシマスタジアムを継続使用する点。地域貢献への取り組みということで、メルカリさんから引き続き理念を大事にして、積極的に働きかけてくれる点。クラブ設立からの理念を継承してくれる会社と確認できた。テクノロジーを活用していただきながら、アントラーズブランドをうまく活用していただけるか。期待が持てるということで、迎え入れることにしました。

小泉社長 鹿嶋地域との関係性、父親が隣町の麻生町(現行方氏)の出身。中学1年生の時に、何もなかった地域に大きなサッカースタジアムができ、オープニング試合も見に行ったのですが、ジーコのプレーを見てファンになって、鹿島、地域に愛着を持っている。人口は小さいかもしれないですが、やれることは多い。サッカーを見るだけでなく、地域を中心とした、地域の活性化をしていきたい。

-鹿島は業績はここ5年安定していない。原因と改善点は。メルカリ社は見切りをつけるスピードも早いという印象があるが、事業計画の考え方は

小泉社長 DAZN(ダゾーン)の参入で賞金が大きく変わるとか、移籍の環境が変わる中で、先行投資をしながら来る変化に備えてきたチームかなと。多少のでこぼこはあるが、上昇軍団をつくるフィロソフィーは変わっていない。まだまだビジネスとしてできる部分は多いんじゃないか。強化は数年単位でやるべきこと。リアルな生活がテクノロジーで変わると考えた時に、5年、10年スパンになるのではないか。

-なぜスポンサーでなく子会社化なのか

小泉社長 スポンサーは、支援はする中で経営を握るものとレベル感が違う。経営を一緒にすることで、アントラーズとともにビジネスをつくっていく。運営を大事に、これからも愛されるチームを作っていきたい。

-著名な選手の補強は考えているか

小泉社長 補強だけでなく育成、これまで大事にしてきた考え方を重視。大きな補強を考えることは現状、しておりません。