元同僚のラストゲームに、手抜きは許されなかった。

ヴィッセル神戸イニエスタは、同じ35歳のサガン鳥栖フェルナンドトーレスの引退試合に全力プレーで応えた。前半の3得点はすべてイニエスタが絡んだ。11分のMF山口の先制点は起点となり、同20分には自らPKで2戦連続ゴール。同22分、FW古橋へ供給したロングパスからFW田中の追加点を生んだ。

試合後、フィンク監督は「素晴らしいキャリアを持つトーレスの引退試合だが、我々は勝負にこだわった。3点目のイニエスタのロングパスは特に素晴らしかった」と絶賛した。戦前にイニエスタは「サッカー界において模範的な存在。最後の試合が神戸、自分が相手となるのは喜ばしい」とフェルナンドトーレスについて話していたが、この日の試合後はコメントなし。最高のプレーが惜別のメッセージだった。

前半終了間際、イニエスタは接触プレーで左太ももを負傷。すぐにベンチへ退いた。フィンク監督は「どれだけかかるか分からないが、来週の試合は無理だろう」と明言したが、神戸は残留争いのまっただ中で価値ある暫定11位へ浮上した。【浦田由紀夫】