新潟医療福祉大が、リーグ3連覇を決めた。新潟経営大との最終節は、FW佐々木快(3年)、MF脇坂崚平(3年)の2ゴールなどで6-1と圧勝。通算12勝1敗1分の勝ち点37、2位北陸大学を突き放して優勝を飾った。来季のJ2アルビレックス新潟入りを決めている主将のFW矢村健(4年=市立船橋)がリーグMVPとベストイレブンを獲得。最終節は、4-1の後半36分から登場し、チームにさらなる勢いをもたらした。

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ピッチの空気が一気に変わった。矢村がゲームに加わるとチームの勢いが急激に上がった。4-1で迎えた後半36分。矢村を含む4選手が一気に投入された。プレー時間はわずか9分と短いながらも、攻撃的な姿勢を存分に見せた。足でボールをキープする相手GKを追い回し、グラウンダーのクロスに足を投げ出す。得点こそなかったものの、味方は、残り9分で2得点を積み上げた。

「チーム力が全体的に上がって優勝できた」。そう話す矢村は、リーグV3とともに、ベストイレブンとMVPの個人タイトルを獲得した。7月には左足親指の腫瘍の除去手術。さらに9月10日からは約1カ月間、母校・市立船場(千葉)で保健体育の教育実習を受けるなど、リーグ戦の出場は決して多くなかった。それでも、リーグMVPに輝いたのは、強烈な存在感を見せた証しだった。最終節の新潟経営大戦では「ちょっと空回りした。点を取って終わりたかった」と話したが、試合終盤にチームを活性化させる「ダイナモ」の役目を見事に果たした。

矢村は、大学3年時の18年9月、20年からのJ2新潟加入が内定。今年2月には、Jリーグ特別指定選手として公式戦出場が可能となった。3日のアウェー栃木戦(1-2)では初の登録メンバー入り。J1昇格が完全消滅したゲームをベンチから見届け、気持ちを新たにした。「チームを勝たせる選手にならなければいけないと思った」。3日の試合後、栃木から約4時間のバス移動を経て午後9時半に新潟に到着。そんな強行日程の中での最終節出場だった。

J2のリーグ戦が終了する24日まで矢村は新潟の練習に参加する。「J2の残り3試合、全部出るつもりでやる」と来季への助走は始まっている。学生生活最後の大会は、12月11日開幕のインカレだ。「新潟の練習で学んだことをチームに還元できれば、チームと自分のためになる」。矢村は充実感たっぷりに前を見据えた。【涌井幹雄】

◆矢村健(やむら・けん)1997年(平9)6月9日生まれ。東京都出身。市立船橋。今季の北信越大学リーグでは7得点をマーク。利き足は右。足のサイズは26・5センチ。168センチ、66キロ。血液型B。