J2アルビレックス新潟のGK野沢洋輔(40)が今季限りで退団することが18日、分かった。近日中に発表される。野沢は00年から08年まで新潟に在籍し、03年のJ2優勝、J1昇格決定時に守護神として活躍。今季、新潟シンガポール(S)から11年ぶり新潟復帰も、ここまで公式戦出場はなし。来季からアルベルト・プッチ・オルトネダ氏(51)が監督に就任するチームの構想から外れた。現役へのこだわりもあり今後は未定。最終節長崎戦(24日・デンカビッグスワンスタジアム)が新潟の選手として出場するラストチャンスになる。

“レジェンド”が不完全燃焼のまま、新潟を去る。08年オフに続き、2度目の新潟退団が決定的になった野沢は「プロである以上、こういうことも覚悟はしていた」と淡々と受け止めながらも、「願いがかなって新潟に戻ることができたけど、プレーで期待に応えられずに残念」と話した。

ここまで天皇杯・金沢戦(7月3日、石川県西部緑地公園陸上競技場)にベンチ入りしただけで公式戦の出場はない。開幕からフル出場を続ける大谷幸輝(30)、セカンドGKの田口潤人(23)に次ぐ3番手の存在だった。今季残る試合は24日のリーグ最終戦の長崎戦のみ。「もちろん出場をあきらめていない。最後まで全力でやる」。08年の第4節鹿島戦(4月2日)以来のビッグスワンのピッチに立つことは新潟に復帰して最初の目標。思いを捨てるつもりはない。

新潟が初のJ1昇格を決めた03年にフル出場するなど不動の守護神として活躍した。気さくな性格でファンからも愛された。野沢も新潟への愛着は誰にも負けない自負がある。今季、野沢が声をかけ、クラブハウスのピッチでの練習試合後にはファンへ一礼するようになった。イベントやスポンサー企業訪問も率先して行った。「ビッグスワンを昔のように満員にしたい」。そのためのPR活動を買って出た。

プレーそのものにも手応えを感じていた。40歳の大台に乗ったが、今季は大きなケガでの離脱はなかった。練習試合を重ねながらシュートへの反応、コーチングの精度が上がった。若手選手ともコミュニケーションを取り、チームの雰囲気を盛り上げようと気を配ってきた。

今後は未定。現役引退がちらついても不思議ではない年齢。クラブへの貢献度を考えれば、それなりのポジションを与えられてもおかしくない。ただ、「まだやれる自信はある」と現役へのこだわりを持つ。一方、「国内では新潟以外でプレーする気はない」と“新潟愛”は変わらない。今は目の前の長崎戦でピッチに立ち、サポーターへの感謝を伝えることを第一に考え、新潟の選手として残りの日々を過ごす。

◆野沢洋輔(のざわ・ようすけ)1979年(昭54)11月9日生まれ、静岡県出身。静岡・日大三島高から98年に清水に入団。00年に新潟に移籍し、01年から正GKに。03年のJ2優勝、J1昇格に貢献。09年に湘南に移籍し、12年からは松本でプレー。15年から新潟シンガポールに所属し、16年からリーグ戦3連覇に貢献し、18年はベストイレブンに選出された。19年に新潟に復帰。180センチ、75キロ。背番号21。