J1清水エスパルスは1-3でJ1ヴィッセル神戸に敗れ、9大会ぶりの決勝進出を逃した。2点を追う前半38分にFWドゥトラ(31)が追撃の1点を決めるも、後半に1失点。絶対的エースのFWドウグラス(31)は不発に終わった。リーグ戦で課題だった守備がこの日も耐えきれず、3失点。苦しんだ今季を象徴する試合内容でシーズンを終えた。

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新国立競技場を目指す戦いが終わった。清水の今季最後の公式戦も、複数失点で敗戦。敵地に駆けつけた約4000人のサポーターもうなだれた。来季はコーチに戻る篠田善之監督(48)は「悔しい敗戦。失点を重ねて難しいゲームにしてしまった」と無念さをにじませた。

最後まで苦しい1年だった。リーグ戦は最終節までJ1残留争いを強いられた。最後は勝って残留を決めるも、課題は克服できなかった。リーグワーストの69失点を喫した守備はこの日も安定せず。前半33分にはクロスへの対応が遅れる弱点を突かれ、痛恨の2失点目を喫した。リーグ戦は34試合中20試合が複数失点。GK西部洋平(39)は「今日もやれることはやれたけど、やられ方がよくなかった」とうつむいた。

頼みのドウグラスは決定機を2度外した。ただ、リーグ戦で14得点を挙げ、何度もチームを救ってきたエースだけを責めることはできない。守備が我慢できず、得点源を封じられて敗れる。苦杯をなめ続けた今季を象徴する「負けパターン」で終戦を迎えた。

残留に導いた篠田監督は今季限りで退任し、来季はJ1横浜でヘッドコーチを務めたピーター・クラモフスキー氏(41=オーストラリア)が指揮を執る。フロントは攻撃的なスタイルの確立を目指してかじを切ったが、改善すべき課題は多い。篠田監督は「クラブがしっかりと先のことを見つめて、足元を見てやっていかなければいけないと思う」。試合後の会見で発した言葉が、クラブ再建を本気で願う指揮官の本音だった。【神谷亮磨】