ヴィッセル神戸が鹿島アントラーズを2-0で破り、悲願のクラブ史上初のタイトルを手に入れた。今季途中の昨年6月に就任したドイツ人指揮官のトルステン・フィンク監督(52)の主な一問一答は以下の通り。

-試合を振り返って

こんにちは。まず、前半がすごくよかったと思います。我々の思うような形のプレーができたし、いい時間に点がとれた。後半は自分たちがディフェンシブすぎたといえるが、相手が3バックに変更して、より多くの問題を起こしてくれた。ただ、我々にも3-0にできるチャンスもあった。結果的に2-0で勝てて全体的には満足しています。

このクラブは25年目になりますが初タイトルをとれたことを本当に誇りに思っています。応援してくれるサポーターもたくさんいますし、神戸の街にとってもいいことだと思うし、新国立初の公式戦で勝てて、歴史的な瞬間を私は一生忘れないと思います。

ひとつ言い忘れましたが、みなさん、あけましておめでとうございます。私が来て半年ぐらいですが、一緒に働いてくれたメディアのみなさんもありがとうございます。チームにも感謝しています。1人1人がパッションを持って一体感をもってくれて、今日はすごくうれしい日です。

最後にひとつ、今日はすごく難しい決断をしないといけませんでした。セルジ・サンペール選手をメンバー外にすることでした。19人でこちらに来て、最後の最後までダビド・ビジャ選手にするかサンペール選手か悩んでいたが、ビジャ選手は決勝をいくつか経験しているし、やはり彼の決定力が必要になると思いました。ただ、サンペールも人柄もすごくいいし、ヴィッセル神戸に今後必要な選手なので、難しい決断だったが、ビジャ選手に決めました。

-前線に藤本選手とポドルスキ選手を並べた理由

藤本選手は相手の裏のスペースも狙えるという考えがあった。特に鹿島戦で多く点をとっていて、期待できると思いました。ルーカス選手は彼のクオリティと能力は違うので。前回の鹿島戦でもいいプレーをしましたし、今日も1点目をつくってくれた。2人共がとくてんに絡んでよかったと思います。

-後半に相手がシステムを変えて違う試合になった。試合終了間際まで選手変更せずいった判断の理由は

相手が我々と同じような3-4-3になり、むこうによりゴールを狙う欲があった。我々も変えるかどうか検討はしていました。イニエスタ選手も(足に)痛みがあると伝えてきたが、続けられると。ポドルスキ選手もフィットネスに不安があり、ビジャ選手も同じケースだったので、3人同時にプレーさせたくないというのもあった。変更も考えたが、とりあえずは同じシステムで残した。田中順也選手を入れて、彼は惜しくも3点目をとれなかったが、とりあえず同じシステムとメンバーにしておいてよかったと思っています。

-新しい国立競技場で初めての試合。6万人近くの人が入ったが、会場の印象は

今日の環境は素晴らしかったと思いますし、スタジアム設備も全部新品でいいと思います。今日は1月1日で、リーグ戦終了後もだいぶシーズンが続いたので、フィジカル的にもハードな部分があった。今日は勝てたからいいですが、負けると負担というのはかかってくるので、鹿島アントラーズをリスペクトしたいとも思います。今日の試合はクラブ、そして選手たちも一生忘れられないと思います。

-今季途中から就任し、うまくいかない時期もあったと思うが、そこから立て直す難しさはどうだったか

確かに私が来る前に9連敗という難しい時期もあったし、就任後も難しい時期はあったが、とにかく大事なのは周りの方の努力だったと思います。選手、スタッフ含め分析の方々もチームに貢献してくれましたし、何より大事なのはすぐに結果を求めるのではなく、慎重に仕事をしないと前には進めないので。

ラッキーというか、このクラブで得することはリーダー的な選手がたくさんいること。イニエスタ選手は監督の意見を聞いて、チームメートのお手本にもなってくれるし、ビジャ選手やポドルスキ選手もそういったキャラクターを持っている。日本人の中でも藤本選手だったり、特に山口選手というのは今季かけがえのない存在でした。彼の存在は大きいですし、彼がまた日本代表に呼ばれたのも不思議ではない。酒井高徳選手も直接コミュニケーションをとれるのは大きかった。努力と慎重な仕事でだんだんよくなっていったと思います。

-ビジャ選手が引退するが、来季はACLもある。補強方針は三木谷さんらと相談し、方針は決まっているのか

もちろん常にクラブ内で補強に関しての話はしています。どういうポジションでどんなプレースタイルの選手が必要か。藤本選手は今年半年のために買った選手ではないですし、今後も彼には期待しているのもあるし、田中順也選手も今季いいプレーしてくれているし、攻撃面では頼れる彼らがいる。新たな補強があった時はその時にみなさんにご報告します。