帝京長岡が2大会連続、3度目の8強入りを決めた。神戸弘陵(兵庫)を5-0で退けた。後半6分、FW矢尾板岳斗(3年)の先制ゴールをきっかけに、FW晴山岬(3年)が2大会連続のハットトリックを達成するなど、波状攻撃を仕掛けた。5日の準々決勝・仙台育英(宮城)戦で、県勢史上初の4強入りを狙う。【晴山の16年ぶり快挙はスポーツ面でたっぷり!!】

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決して、勢いのあるシュートではなかった。0-0の後半6分。FW矢尾板が左足を振り抜いた先制シュートは、転がりながらゴール右隅に吸い込まれていった。MF本田翔英(3年)のグラウンダーの左クロスを、ダイレクトで決めたが「当て損ねた。気持ちが前のめりになっていた」。それでも、矢尾板の高校選手権初ゴールがゴールラッシュの発火点になった。「自分の得点で流れが作れたのでよかった」と矢尾板は言った。FW晴山が2大会連続のハットトリックを決めるなど、後半は点を取りだしたら止まらなくなった。

目覚めのきっかけは、指導スタッフの仕掛けにもあった。J2京都入りが内定、前日も得点したチームの象徴・MF谷内田哲平(3年)をハーフタイムで交代させた。谷内田と矢尾板、晴山は長岡JYFCで4歳から一緒にサッカーを練習してきた。矢尾板は「これを(谷内田)哲平のラストゲームにしない」と、心に誓って後半のピッチに立った。

県勢で初めて2大会連続の8強入り。5日に行われる仙台育英との準々決勝に勝てば、史上初の4強入りが決まる。矢尾板は「個人的にはもっと仕掛けて、チャンスを作って得点に絡みたい」と言う。前夜、試合後の宿舎で柔軟、補食、マッサージ。夕食後には選手たちの携帯電話を集め、試合に集中できる環境を用意した。グラウンド内外、心身共に勝つための準備を怠っていない。

帝京長岡の8強入りは12年度、18年度に続いて3回目。県勢でみれば、17年度から3年連続で「4強の壁」に挑む。着実にレベルは上がってきた。新潟サッカーの歴史を「三度目の正直」で塗り替える。【涌井幹雄】