ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(35)が2日、5冠獲得を宣言した。チームの沖縄・読谷村キャンプを打ち上げ、今季初めて取材に応じた。調整遅れが不安視されたが、今季初の公式戦となる8日の富士ゼロックス・スーパー杯横浜戦(埼玉)へ必勝を誓い、ACL、J1、ルヴァン杯、天皇杯を含めた全タイトル獲得を宣言。2年連続で主将就任も決まった。

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2年連続で参加した沖縄・読谷村キャンプを打ち上げたイニエスタは、気温20度の陽気に誘われ、約1000人の観客に手を振り、笑みをふりまいた。基本は応じない取材にも今季初めて口を開いた。

「いい形で前向きな準備ができた。今季へのフィジカル面やその側面を鍛えることができ、しっかり準備を整えられた」

元日の天皇杯決勝でクラブの初タイトル獲得に貢献。オフはスペインとの移動を考慮され、1月22日のチーム始動ではなく26日の沖縄合宿初日から合流した。調整遅れが心配された中で、新型コロナウイルスの余波で同30日の練習試合が急きょ中止に。今月8日のゼロックス杯と12日のACL初戦JDT(マレーシア)戦(ホーム)へ、ぶっつけ本番の可能性もあった。

だが前日1日、完全非公開でJクラブと練習試合を実施。イニエスタは45分間出場し、今季初実戦を問題なくこなしたという。その肉体を見た関係者は「しっかり筋肉がつき、調整している。(ゼロックス杯も)いけると思う」と話す。

「8日、12日ともベストで行く。最初はフィジカル的にチーム全体としても最高ではないかもしれないがベストを尽くす。難しいとは分かっているが、J1を含めて全部優勝したい。タイトルを取ってシーズン最初のスタートを切りたい」

本人もゼロックス杯の出場を事実上志願し、今季5冠獲得の目標を掲げた。バルセロナで培った、勝者の精神が宿っていた。慎重派のフィンク監督のGOサインが出れば、最低でも途中出場は可能だ。

2年連続で主将就任も決まった。三浦淳寛スポーツダイレクターは「彼が円陣や控室で言葉を発すれば緊張感が走る。彼以外にいない」。5月に36歳を迎えるスターは、今季も魔法のパスをピッチで披露する。【横田和幸】