尚志が4カ月ぶりの対外試合で圧倒した。高円宮杯U-18プリンスリーグ東北(開幕日未定)に所属するチーム同士の前哨戦で、帝京安積を計8-1(1本目5-1、2本目3-0)で撃破。主力組出場の1本目はMF菅野稜斗(3年)が先制ゴール含む2発でチームを活性化。J2山形に来季加入するFW阿部要門(3年)とU-17日本代表のチェイス・アンリ(2年)の攻守の軸は不在だったが、「楽しむ」をテーマに総合力の高さを示した。

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164センチの左サイドアタッカー、菅野が水を得た魚のごとく雨中のピッチで躍動した。1本目に先発し、キックは左足、ドリブルは右足、独特のスタイルで攻撃の起点になった。先制点は相手DFのミスを見逃さずにボール奪取。すぐさま左足を振り抜くと、GKに触れられながらもネットを揺らした。「相手が油断しているところを突けた。止められたと思ったが、入って良かった」。このゴールがチームを勢いづけた。

自身2点目は雨で滑りやすいピッチ状況を利用し、ワンバウンドさせた技ありの左足弾。「高い位置でボールを奪って周りを使えたが、自分で持っていこうと思った。思い切り良く打てた」。特長である裏への抜け出し、1対1の仕掛けを随所に見せ、前半35分のみでお役御免となった。

新型コロナウイルスの影響で、2月の練習試合を最後に紅白戦以外の実戦は積めず。個人調整はできたが、部活としては約2カ月活動を休止。今月1日から全体練習が再開した。全国高校総体が中止になり、国体も開催されない可能性がある。それだけに12月開幕予定の全国高校サッカー選手権にかける思いは強い。昨年度の同大会は初戦敗退。菅野はベンチ入りも出番はなく「悔しい思いをぶつけたい」と闘志を燃やす。

仲村浩二監督(47)は「全員緊張してて新鮮だった。試合内容というよりも動き出したことが良かった」。さらに「3年生の活躍の舞台を作ってあげたい」。同じ思いを抱く県内強豪4校(帝京安積、聖光学院、学法石川)の監督と協力し、来月4日からリーグ戦を実施する。逆境の中でも全国制覇へ下地を作っていく。【山田愛斗】

○…帝京安積は厚みのある攻撃を仕掛けられなかった。1本目前半は終始試合を支配され、シュートは0本。それでも同後半、右サイドでボールを持ったFW富永凱喜(2年)がカットインからの左足弾で一矢報いた。「得意な形で決められたが、全然仕掛けられず、練習でやってるプレーも出せなかった」と反省した。