首位の川崎フロンターレが、2位のセレッソ大阪に5-2で逆転勝ちし、延長などを含まず同一シーズンでの10連勝と、J1最多記録を打ち立てた。新型コロナウイルスの影響による中断明け初戦だった第2節から怒濤(どとう)の10連勝。2位C大阪との同差を10と大きく広げた。新型コロナウイルス感染者が出て活動休止している鳥栖の仙台戦は中止となっている。

 

登場からたった14分で、川崎FのMF三笘が粘るC大阪に引導を渡した。1点差に迫られて迎えた後半30分、FW小林のパスを受けると迷わず右足を振り抜いた。東京五輪代表も指揮する森保監督が視察する前で公式戦5試合連続ゴール。J1では90分試合で同一シーズン新記録となる10連勝を決定づけた。

巧みなドリブルと正確なシュート力で、東京五輪世代で今、最も強烈な輝きを放つ。そんな姿に、筑波大の先輩でもあるDF車屋は「1年目だけど頼もしい。ドリブルは別格というか一番Jで乗っている選手。同じチームで良かったなと思っています」。この日もFW旗手とともに勝利に貢献した“ルーキーズ”に、鬼木監督も「切磋琢磨(せっさたくま)とか意識させなくても、向上心は目に見えてすごいものがあるので、自分とは関係ないところで成長していってくれている」と目を細めた。

ここ2シーズン未勝利と苦杯をなめさせられた眼下の敵との大一番。先制されたものの、結果的には2試合連続5得点以上で堅守のC大阪に圧勝し、2位との勝ち点差も10まで広げた。11戦34得点9失点と攻守で他を圧倒する理由は何か-。FW小林は試合前、クラブハウスに立ち寄ると、ベンチ外の斎藤と山村の両MFが居残りで走る姿に視線を奪われた。「この試合に絡まない選手がこれだけやっているのを見て、出る選手がやらないわけにはいかないと思った。誰ひとり満足せずにやっていることが結果につながっている」。ルーキーからベテランまで、全員が貪欲に同じ方向を見つめる川崎Fの独走は、止まる気配がない。【浜本卓也】