2017年にブラジル女子1部リーグで日本人選手初のプロ契約を結んだ同国1部アバイ・キンダーマンのMF藤尾きらら(21)が4日、新シーズンへ向けて成田空港から出発した。

藤尾は女子サッカーの名門、日ノ本学園(兵庫)を卒業後、なでしこリーグのクラブなどからのオファーを断り、単身ブラジルへ。3度の入団テストを経て現地クラブのプロ契約を勝ち取り、現在3シーズン目を迎えている。

昨夏に左膝の負傷やビザの関係などで一時帰国し、今年3月に新シーズンに向けてブラジル入りする予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開幕が延期に。いつ始まるかわからない状況の中、日本で調整を続けてきた。けがも癒えて状態は整ってきていると言い、「またブラジルに行くことができてうれしいし、楽しみです」と約1年ぶりとなるピッチへ照準を定めた。

日本にいる間は故郷の熊本に拠点を置き、負傷から復帰後は、なでしこリーグ1部のアルビレックス新潟レディースなどに練習参加するなどして調整してきた。同時にサポートを受けるアシカラ改善院(埼玉県北葛飾群)の染谷学氏と共に全身のバランスを骨格から矯正。歩き方から見直すことで体の軸が安定し、試合中の切り返しなどにも鋭さが増したという。藤尾は「止まる動きが良くなったので、ドリブルで相手につかまりづらくなった」と手応えを口にした。

ブラジルでも依然として新型コロナウイルスの脅威はあるが、女子のリーグ戦も今週から再開した。手荷物には染谷氏から提供されたコロナウイルスの不活化に効果があるとされるオゾン発生装置も入れ、万全の備えで臨む。

藤尾の所属するアバイ・キンダーマンは育成年代を含めたブラジル代表も多く輩出している強豪チーム。南米クラブナンバーワンを決める大会「コパ・リベルタドーレス」への出場も決めており、「楽しみです。今まで調子のいい時にけがをしてきたので、まずは再発しないように気をつけながら。結果でチームに貢献したい」と力を込めた。【松尾幸之介】