高校サッカーの名門校同士の対戦は、鹿児島実が国見に圧勝した。90年の全国高校選手権決勝で、両校が対戦してから30年。当時、鹿児島実には元日本代表の前園真聖氏や、ガンバ大阪のMF遠藤保仁の長兄拓哉氏もいた。30年前は両校、1歩も譲らない接戦で、延長の末、国見が1-0で勝利した。

この日は国見が1点を先制も、前半18分、鹿児島実のMF守岡晃希(2年)が、ペナルティーエリア外から左足を振り抜き同点。さらに、守岡が2点を追加しハットトリックで勝利した。鹿児島実の森下和哉監督(37)は「伝統校としてのDNAで、お互いのユニホームを見るとスイッチが入った。バチバチでした」と振り返った。

同校とも部員約120人の内、約半数が寮生。新型コロナウイルスの影響で、家族との面会は原則禁止になった。今年はインターハイも中止になり、プレーを見てもらう場が減った。この試合は保護者らに見てもらう絶好の機会だった。鹿児島実のFW小浜駿主将(3年)は「普段の練習試合よりも熱が入ってライバルという感じでした。(11月1日開幕の)鹿児島県予選を勝ち抜いて、全国でも優勝したい」と誓った。

鹿児島実は07年、国見は10年を最後に選手権出場から遠ざかっている。30年前の試合に見て、国見へ進学した同校OBの木藤健太監督(38)は「鹿実には負けたくない気持ちが湧き出てきた。課題も見えて次につながる」と充実感をにじませた。お互いを刺激し合った名門校が、再び選手権を目指し弾みをつけた。【南谷竜則】