今夏、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、一時、活動休止を余儀なくされた立正大淞南は、大社にPK戦で敗れ、5大会連続の全国切符を逃した。

2点ビハインドから、後半ロスタイムに同点に追いつき、いったんは振り出しに戻した。延長で決着がつかず、PKまでもつれ込んだが、勝利には届かなかった。

立正大淞南は、試合開始直後から積極的にゴールを狙うも、得点にはつながらなず。前半20分に大社のFW島貫心(2年)に先制点を許すと、さらに後半11分にCKから2点目を奪われた。

だが、後半30分、MF吉田竜樹(3年)のパスからFW古山兼悟(3年)が頭で合わせ1点を返すと、後半ロスタイムに、大社のオウンゴールを誘い、同点に追いついた。

延長戦に持ち込んだが、勝負は決まらずPK戦へ進み、先攻の大社が1人目のPKを成功させた直後、立正大淞南は1人目がPKに失敗。大社は残り4人が成功させ、敗退が決まった。

立正大淞南イレブンは崩れ落ち、むせび泣いた。南健司監督(50)は「(生徒たちには)何かが足りなかった。しかしここで終わりではないので、それを埋める作業をこれからしていってほしい」。試合後のミーティングが終わってから、3年生1人1人と握手を交わし、「頑張れよ」と声をかけた。

8月にクラスターが発生して以来、しばらくは活動ができず。9月7日に練習を再開したが、自動販売機で飲み物を買うこともできなかったという。南監督は「試合で躍動する姿を届けることでお礼がしたかったが、それがかなわず残念。メディアを通して感謝を伝えてください」と、静かに話した。【佐藤あすみ】

◆立正大淞南高クラスターの経緯 今年8月に生徒1人がPCR検査で陽性となったことが判明。翌日に生徒135人、教職員6人をPCR検査したところ、88人が陽性。その後も感染拡大が確認され、サッカー部員を中心に野球部員、一般生徒や教員、出入りのあった業者らを含め、100人以上の感染者が出た。

◆立正大淞南 1961年(昭36)創設の私立校。立正大の準付属校。サッカー部は全国高校選手権に18回出場、18年連続でプロ選手を輩出。野球部は全国高校野球選手権大会に2回出場。マーチングバンド部は全国大会6回出場。射撃部もジュニアオリンピックで優勝経験がある強豪校。主な卒業生は、元サッカー日本代表の岡野雅行氏、C大阪の松田陸、プロ野球広島の中村恭平らがいる。野球部からは今年も、ロッテから育成ドラフト1位で谷川唯人捕手が指名された。