横浜FCのFWカズ(三浦知良、53)が、自身が持つJ1最年長出場記録(53歳6カ月28日)を更新し、53歳8カ月13日とした。第28節の神戸戦(ニッパツ)に、1-1の後半42分から途中出場。神戸MFイニエスタと競り合うなど、献身的にボールを奪いに行った。カズの加入直後にチームは劇的な逆転勝利。キングが流れを変えた。

     ◇     ◇     ◇

見慣れたプーマのスパイク。代名詞の背番号「11」。後半42分。カズが、ニッパツの芝に歴史を刻んだ。53歳8カ月13日。自身が持つ53歳6カ月28日のJ1最年長記録を更新した。かつて「イニエスタの股を抜きたい」と話していた神戸との対戦。後半44分。相手FKで自陣に下がっていたカズは、セカンドボールを拾ったイニエスタと競り合い、ファンに夢の対決を届けた。

股抜きはかなわなかった。それでも、魔術師の体にはキングのすごみが、ひしひしと刻まれていた。「彼のような日本を代表する選手とピッチに立てたのは光栄。53歳になっても、ピッチに立てる秘訣(ひけつ)を教えてもらいたいぐらい。脱帽です」と言わしめた。

存在そのものがキング。後半45分まで均衡状態の試合は、カズの加入から試合が動いた。アディショナルタイムに逆転勝利で、チームの連敗は3でストップ。下平監督も「カズさんがベンチに入ることで、アップから円陣から全てがモチベートされる。周りの選手に及ばす影響はすごい。スタジアムの雰囲気も含めて流れを持ってこられる」と、まさに狙い通りだった。キングのJ1最年長得点はお預けでも、ピッチに立つだけで、何かが生まれる。【栗田尚樹】