初出場のヴィッセル神戸が、スターの技ありゴールでベスト8に進出した。

前回8強の上海上港(中国)に2-0の完勝。前半に主将のMFイニエスタ(36)が、相手3人に囲まれながら左足での芸術弾で先制。後半にはFW起用のDF西大伍が追加点を奪って快勝した。8日に抽選を行い、10日準々決勝の対戦相手が決まる。優勝すれば来年2月のクラブワールドカップ(W杯)に出場できる。

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欧州CL4度、クラブW杯3度の優勝経験があるイニエスタだが、手抜きなど一切ない。前半31分にMF山口の縦パスを受けると、細かいボールタッチを重ねて横移動。最後は相手3人に囲まれながら、左足を振り抜いた。GKの脇を滑り抜ける1発は、今大会2点目となる先制点だ。

神戸の主将は、1日の取材で「ACLは100%の力でやらないとやられる。アジアのレベルはどんどん上がっている」と発言。この日は相手の激しいプレーでDF酒井が左膝付近を負傷。イニエスタも原因不明ながら右太ももを痛め、後半23分に退いた。

三浦監督は「選手の気持ちが入った勝利だが、イニエスタの脚の状態が少し心配」というように、準々決勝、準決勝とも中2日で続き、大会全5試合に出場してきたイニエスタが欠場すれば、大きな痛手だ。

一方で神戸の戦略は実りつつある。J1で5連敗のままドーハ入りしたが、本来右サイドバックの西はこの日、大会2度目の3トップ右で先発。温めていた秘策が奏功し、後半5分には右足先で貴重な追加点を奪った。鹿島時代の18年にACL優勝を経験した33歳は、前日に「気持ちと運とロマン(が必要)」と答えていたが「この大会で成長したい。勝つだけ」と表情を引き締めた。経験の少ない23歳DF菊池も激しい守備で貢献するなど、若手もぐんぐん成長している。

神戸の悲願だったアジアNO・1へ。浦和、G大阪、鹿島に続く日本勢の栄冠まであと3連勝で、西のいうロマンが結実する。【横田和幸】