初の全国高校サッカー選手権に乗り込む学法石川(福島)は、がむしゃらさが武器のFW倉島聡太(3年)が絶対的エースとして君臨する。県大会初戦から決勝まで4戦連発で計5得点と大暴れ。地元福島出身のプライドと県外出身者が多い6連覇中の尚志への反骨心を胸に秘め、チームを夢舞台に導いた。

1月の東北新人決勝で青森山田に0-4で敗戦も準Vと健闘。全国切符を懸けた県大会での躍進を予感させ、準決勝は尚志、決勝は聖光学院と強豪を連破し悲願を達成した。倉島は飯野中1年時の15年、尚志にPK戦で競り負けた県決勝をスタンド観戦していて、5年後には自らのゴールで歴史を変えた。

同中3年時の夏休みに体験入学でサッカー部の練習会に参加した。「決勝を見て学石に興味を持ち、練習会時点では『稲田(正信)先生って誰?』という感じでしたが、先生が『うちに来ないか』と誘ってくれて、これだけ言ってくれるなら」とラブコールに応えた。ところが、入部後に「みんな、高円宮杯とかクラブユースの話をしていて『それ何?』とギャップを感じ、プレーもへたくそで、中学で通用したものが通用せず、がくんと落ちた」。戸惑い、自信を失いかけた時期もあった。

それでも自分と向き合い「シュート練習はチームで一番やった自信がある」。短期集中型で30分間、2人組でボールを蹴り込んでゴール感覚を養い、苦手だったヘディングも「大好き」な最大の武器に磨き上げた。来年1月2日の初戦は創成館(長崎)と初出場対決。「自分のゴールでチームが1つ2つと勝っていき、学法石川の名前をたくさんの人に知ってもらえれば」とアピールを誓う。「自分は福島県出身で小中学生に『福島県民でもやれるぞ』というのを全国で見せたい」。郷土愛をパワーに得点を量産する。【山田愛斗】