今季のJリーグのデータを独自の視点で分析して各賞を選出する、恒例「ニッカン・フットボール・アウォーズ」を3回にわたって連載します。第1回は攻撃編。ヴィッセル神戸FW古橋亨梧(25)がPA外得点王に輝いた。ペナルティーエリア(PA)外からの得点はリーグ最多5点。抜群のシュートコントロールで遠めからゴールを量産した。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)でも初出場での4強進出に大きく貢献した。【構成=石川秀和】

<ペナルティーエリア外得点王>

古橋がリーグ戦で自己最多となる12ゴールをマークした。得点ランキングは9位だったが、直接FKを除く、PA外からの得点に限ればトップの5点。昨季の1点から4点も増やした。今季の通算12点は右足6、左足5、ヘッド1と左右両足遜色なく、器用にゴールを量産。万能タイプのアタッカーとしてさらなる進化を遂げた。

今季の神戸は元スペイン代表FWビジャが引退し、元ドイツ代表FWポドルスキも退団。エースとして古橋にかかる期待は大きかったが、元スペイン代表MFイニエスタとの連係を向上させ、そのパスから公式戦4ゴール。リーグ戦は14位に終わったものの、開幕前の富士ゼロックス・スーパー杯で優勝、ACLでも4強進出の原動力となった。

古橋は今年6月、私生活の変化として「野菜をいつもより多く取り、食事を改善した。今までメインは肉だったけど、自炊して野菜を多く取るようにした。体は軽くなり、いい感じに来ている」と明かしていた。肉食系から草食系。そのPA外シュートもパンチ力抜群のミドル弾というよりは、正確なコントロールで遠めからでもコースを突く見事なゴールが多かった。

ACLジョホール・ダルル・タクジム(JDT)戦のゴールは象徴的。DF西の右クロスをペナルティーアーク付近から右足ダイレクトで軽く合わせ、GKの頭上を射抜いた。JDTが大会を途中棄権したことで試合の記録は無効になったが、そのゴールは神戸サポーターの記憶に残った。

◆古橋亨梧(ふるはし・きょうご)1995年(平7)1月20日、奈良県生まれ。大阪・興国高、中大を経て17年にFC岐阜入りし、本名は「匡梧」だが知人から助言を受けて登録だけ「亨梧」に変更。18年8月に神戸へ移籍。19年11月に日本代表デビューし、国際Aマッチ通算1試合。170センチ、63キロ。