前年度準優勝の青森山田が、異次元の強さで3大会連続4強入りを果たした。

初の準々決勝に臨んだ堀越(東京A)を4-0で圧倒。前半14分、DFタビナス・ポール・ビスマルク(3年)が先制すると、同16分にはロングスローからDF秋元琉星(3年)が、ヘディングで2戦連発弾をたたき込んだ。同28、32分に、1トップの2年生FW名須川真光(まさき)が2ゴールを決め、存在感をアピールした。

今季無敗の青森山田を加速させたのは名須川だ。同じ「ナスカワ」姓で、キックボクシング38戦全勝の「神童」と称される那須川天心(22)ばりの輝きで、堀越をKOへと追い込んだ。チーム3点目はDF藤原優大主将(3年)が、高精度のロングボールで右サイドへ展開。それをDF内田陽介(3年)がダイレクトで折り返し、名須川がヘディングで合わせる完璧なゴールだった。同4点目は泥くさくこぼれ球に反応し、右足で押し込んだ。

黒田剛監督(50)は2得点の名須川について「今回初ゴールとなり、これで乗ってくれればいいかな。2列目の安斎(颯馬)や松木(玖生)が(点を)取ることが多いチームだが、ああいう形でトップが取れると自信になると思います」。FW古沢ナベル慈宇(よしたか、3年)と後半31分で交代。指揮官とがっちり握手し、ベンチに下がった。

岩手出身の名須川は、今季主戦場のスーパープリンスリーグ東北で6試合4得点。「1本にこだわる」ストライカーで、将来はプロ入りを目指す。主力の古沢が負傷離脱中にポジションをつかみ、藤原は「1年間で成長した選手はたくさんいるが、個人的には名須川が一番伸びた選手だと思っています。(古沢)ナベルがけがをして『誰が埋めるんだ?』というときに名須川が思った以上に働いてくれて、チームとして活性化しました」と評価する。

9日の準決勝では矢板中央(栃木)と戦う。2大会ぶり王座奪還へ、今季無敗の常勝軍団に死角はない。【山田愛斗】