矢板中央(栃木)が富山第一(富山)を2-0と完封し、2大会連続4度目の準決勝進出を決めた。相手をシュート4本に抑え込んでの勝利。今大会ここまで3試合で、失点はわずかに1。堅守を旗印に、初の決勝進出を目指し、7日に優勝候補筆頭の青森山田(青森)と対戦する。

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板というより、壁だった。“矢板の壁”が富山第一の前にも立ちはだかった。自慢の堅守。前半はボールを持たれる時間が増えたが、一糸乱れぬDFラインが中心となって、危険なエリアへのパスを許さない。中央には187センチの新倉、188センチの島崎の両DF、CBコンビがそびえるように立ち、ゴール前をしっかり閉ざした。後半9分にロングボールを受けたFW小川がDFを振り切って先制点を決めると、同25分の追加点で試合を決定づけた。2点あれば十分だった。

選手権では、もはやおなじみとなった矢板中央の強固な守備を作り上げる金子文三コーチは「相手の得意な形を真っ向から受け、守れるように」とコンセプトを語る。相手の攻撃は前線の選手によるコンビネーションが最大の武器。機能しなければ2トップにロングボールが入る。それもだめならサイド攻撃に切り替えてくる-。分析を尽くした。陣形や選手間の距離を調整しながら、攻め手を1つ1つつぶす。がっぷり四つで受け止めて完封した。

鮮やかな連係や細かいパスワークは多くない。引いて守り、ロングボールを多用する戦い方は「批判もされがちです」。金子コーチは明かす。選手たちを納得させるのに苦労することもあるという。それでも「ぐっと耐えた先に勝利をつかむ、そうした経験をして育つことで、5年後にいい選手になると思う」と、あえてこの戦術にこだわる理由を語った。

鉄壁の矢板中央にも壁がある。それが4強突破だ。これまで3度、準決勝ではね返された。前回大会は優勝した静岡学園に試合終了間際にPKを与えて失点。涙をのんだ。DF坂本主将は「(準決勝以降の会場の埼玉は)思い入れと悔しさのある場所。気が緩まないように」と表情を引き締めた。次は準々決勝で4得点の青森山田が相手。大会屈指の矛盾対決を制した先に、まだ見ぬ決勝の光景が待っている。【岡崎悠利】

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