第99回全国高校サッカー選手権は5日に4強が出そろった。新型コロナウイルス禍で実戦機会が少なかった影響からか、試合分析をする関係者からは例年より各校の連係や戦術の完成度が低いとの指摘が出ている。一方で、CKやFKと同様にゴールを狙えるロングスローを武器に勝ち上がるチームが目立っている。

その威力と即効性もあってか、ここ数日、SNS上ではロングスロー論争が一部で沸騰している。青森山田OBのヴィッセル神戸MF郷家は3日に「どんな形でもゴールはゴール。使える武器は使う」と後輩たちの戦いぶりをたたえた。東京ヴェルディや名古屋グランパスに在籍したGK高木義成氏は「周りがとやかく言う必要は一切ない。もはやうるさいくらい」と理解を示し一蹴している。

一方で、「嫌い」「アンチフットボールだ」「反対」と、批判的な意見も根強い。その上で、冷静な視点で元日本代表DFの岩政大樹氏は「個人的には、ロングスローに対しての守り方に問題があると思いますね。そもそもチャンスになり得なかったら、これほど高校サッカーで流行するわけがないですからね。日本サッカーで、地上戦と比較して空中戦の議論がかなり置いていかれてしまっている現状が招いている現象だと感じます」と、指摘している。