2大会ぶり3度目の王座へ、あと1つに迫った。前年度準優勝の青森山田が、矢板中央(栃木)を5-0で粉砕し、3大会連続で決勝に駒を進めた。無観客で行われた一戦で、伝統の背番号「7」を背負うMF安斎颯馬(3年)が、先制弾含むハットトリックと爆発。DF藤原優大主将(3年)、FW名須川真光(まさき、2年)もネットを揺らし、ゴールショーを見せた。明日11日には09年度決勝で初優勝を阻まれた山梨学院と、日本一を懸けた12年越しのリベンジマッチに臨む。

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高校NO・1を決める舞台にたどり着いた。青森山田は昨年1月13日の決勝戦で、静岡学園に2-3で逆転負け。それ以降は無敗街道を走り「王座奪還」へ鍛錬を重ねた。埼玉スタジアムでの悪夢を、ピッチ上で味わった安斎と藤原が、攻守の柱として躍動。2人で4ゴールを挙げ、決勝進出の立役者になった。

安斎は前半16分、角度のないところから左足を振り抜き先制。後半1分に完璧な右足ボレー、同29分にハットトリックを達成した。「ディフェンス陣が必死に守ってくれる中でオフェンス陣が点を取って後ろを楽にさせたかった。『今日こそは』の思いで、ゴールという形で結果に表れて良かった」。2回戦で得点後、不発が続いた点取り屋がようやく目を覚ました。

藤原は3回戦で股関節を痛めたものの、準々決勝、準決勝と2戦連続完封に貢献。前半35分にはロングスローからヘッドを沈めた。「やっと青森山田らしいサッカーができたが、まだまだ課題はある。決勝は今までの集大成と言えるような素晴らしい試合をしたい」。卒業後はJ1浦和に加入。本拠地になる埼玉スタジアムで有終の美を飾る。

大本命に毎年挙がるチームを黒田剛監督(50)は「優勝候補としての力を長年全国に発信し続けられるのが青森山田たるゆえん」と語り、ウイークポイントを作らないことを徹底する。「何かに突出というよりもフィジカル、リスタートも強く、ボールを握れて決定力もある。守備力があって失点が少ない。トータルで全チームより優位に立ち、アドバンテージを持っていくのが山田の絶対的な強さ」と常勝軍団に育て上げた。

初の決勝に挑んだ09年度は山梨学院に惜敗し準優勝。それでも初優勝した16年度からは5年間で決勝進出4度を誇る。今大会は4試合で15得点2失点と攻守が安定。東の横綱が2大会ぶり日本一に輝き、常勝軍団を証明する。【山田愛斗】

 

◆第88回大会 09年の全国高校サッカー選手権では、初出場した山梨学院が、初優勝を飾った。準決勝では矢板中央を下し、決勝では青森山田に1-0で勝利した。今大会の決勝も同じカードとなった。