藤枝順心(静岡、東海2位)が、史上初となる2度目の無失点優勝を達成した。自慢のハイプレスで作陽(岡山、中国1位)に3-0で完封勝ち。史上4校目の2連覇を飾り、歴代最多タイの5度目の日本一に輝いた。

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藤枝順心イレブンが歓喜に酔いしれた。後半ロスタイムの4分が経過。試合終了を告げる笛が鳴り響くと、選手たちはピッチで喜びを爆発させた。MF柳瀬楓菜主将(3年)は「順心初の2連覇を達成できてうれしい」と笑顔を見せた。

過去4度の優勝と比較して、多々良和之監督(56)は「個のレベルは最も低かったかも。2連覇も『どうだろう』と思ったが、大会を通じて大きく成長してくれた」と偉業をたたえた。

苦い経験がチームの武器を再確認させた。昨年11月の東海大会決勝で常葉大橘に0-3の完敗。この敗戦をきっかけに、前線からのプレスと素早い攻守の切り替えをさらに徹底した。指揮官は「高校年代でハイプレスを回避できるチームは少ない」。この日の決勝でも、相手の最終ラインに圧力をかけてカウンターから次々と好機をつくった。柳瀬は「相手を分析して、ほぼ完璧に抑えることができた」と胸を張った。

後半2分、FW窓岩日菜(2年)が左クロスを頭で合わせて先制。今大会トップタイの4点目を決めて得点王に輝いた。5分後にはFW斉藤花菜(2年)が追加点。2-0と優位に立ったが、柳瀬は「完璧な優勝を目指して、無失点はかなり意識していた」。わずかな隙も見せなかった。

史上初の3連覇を後輩に託す。「順心の伝統は進化すること。進化を続けるチームであってほしい」。指揮官も「やりがいのある目標。攻撃面をさらに強化したい」と意気込んだ。常に高みを目指す女王のDNAは、新チームにも脈々と受け継がれていく。

○…藤枝順心FW高尾真莉奈(3年)が、姉の果たせなかった日本一の夢をかなえた。今大会は5試合全てに途中出場。流れを変えるスーパーサブとして3得点を挙げた。この日の決勝も後半開始から出場。2-0の同18分、左サイドの角度のない位置から右足を振り抜き、逆サイドネットへ突き刺した。東京国際大サッカー部の姉真由香(4年)は高校時代、大商学園(大阪)で主力としてプレー。3年時の2016年度にチームは準優勝したが、ケガの影響でピッチに立てなかった。毎日のように連絡を取り合う仲良し姉妹で、この日も高尾は姉から「全力で楽しんでこい」と送り出された。「お姉ちゃんの思いも背負って、日本一になれた。ゴールも決められて最高にうれしい」と白い歯を見せた。

卒業後は姉と同じ東京国際大へ進学し、サッカーを続ける。「大学で成長して、より高いレベルを目指したい」と誓った。