J1ベガルタ仙台が8季ぶりに復帰した手倉森誠監督(53)の下で再起を期す。昨季は17位と低迷。東日本大震災から10年で節目の今季は「推進力」をキーワードに12人の大補強を行い、チーム再建を進める。27日のアウェー広島での開幕戦に向けて今日12日から「十人十色~ベガルタ新戦力紹介」と題し、合流日未定のGKストイシッチ、FWオッティを除く10選手に迫ります。第1回は快足アタッカーのFWマルティノス(29=浦和レッズ)です。

「マルちゃん」がサイド攻撃の破壊力を倍増させる。「100ゴール100アシストを目指して頑張ります(笑い)」と陽気に冗談を飛ばしながらも、得点演出に貪欲な姿勢を貫く。定位置は左も右も二重丸のクオリティー。スピードに乗ったドリブル、左足から放つ直接FKが必殺技だ。技巧派でドリブルが得意なMFクエンカとの強力ユニット結成に期待がかかる。

得点力アップの使者になる。マルティノスは「ゴールを決められる選手」と自己分析。代名詞の高速ドリブルでサイドを制圧し、正確なシュート、パスで締めくくる。サポーターには「特別なものを感じてほしい」と華麗なプレーを約束。昨季リーグワースト2位のチーム総得点36を倍増させるような働きを見せる。

16年の横浜F・マリノス入りまで来日経験がなく「そもそも日本をあまり知らなかった」。浦和を退団し「いろんなチャンスがあったが、日本が好きで残る決断をした」。仙台という場所も「素晴らしい街で何も不自由ない」。宮崎キャンプを終え、帰仙する日を心待ちにする。

カリブ海に浮かぶオランダ領キュラソーで生まれ、すぐに本国へ移住した。欧州の同国でサッカーを始める年齢は5歳ごろが一般的。しかし、マルティノスは10歳からスタートし「実はサッカーをやりたいと思っていたわけではなく、友達から『一緒にやろう』と誘われ、寒いのが嫌いで断っていたが、いざやったら面白かった」。それ以前はハンドボール、陸上の短距離走、高跳びに打ち込み「今も続けていたらオリンピック選手だった」と笑う。

夢中になったヒーローはバルセロナなどで活躍した元ブラジル代表FWロナウジーニョ。「言うまでもないが、彼のドリブルは誰もまねできないし、ボールを取られない。FKなどすべてにおいてパーフェクトで憧れる」。完璧な花マル(丸)プレーでピッチの主役へ一直線だ。【山田愛斗】

◆マルティノス 1991年3月7日生まれ、キュラソー出身(オランダ国籍)。SCヘーレンフェイン(オランダ)、FCボタシャニ(ルーマニア)、横浜、浦和などを経て完全移籍。J1通算103試合14得点。好きな食べ物は鉄板焼き。息抜きは家族と電話をすること。愛称「マルちゃん」。183センチ、70キロ。背番号20。