浦和レッズのベンチには、18歳のGK鈴木がいた。ピッチ上では、21歳も年上の男が躍動した。39歳のMF阿部勇樹が、今季チーム1号をマークした。

0-0の後半29分。右CKのこぼれ球に反応し、右足で押し込んだ。39歳5カ月21日での開幕弾はジーコ氏に次いで歴代2位。日本人では遠藤保仁の38歳27日を上回って1位の記録。自身の名誉な数字に構うことはなく、周囲を思った。

阿部 家族もあるし、浦和というチームをいろんな人がサポートしてパワーをくれる。そういう人たちに何とか恩返しをという思い。笑顔を見られるように頑張りたい気持ちが突き動かしてる。

4季ぶりの開幕スタメン。「個人的には楽しくやっているし、そういう雰囲気に監督がしてくれている。サッカーの面白さをまた教えてもらっている」。腕にはキャプテンマークがあった。ロドリゲス新監督は阿部の日々の練習に取り組む姿勢、実直な人間性にほれ込んだ。「彼と会話をしていると価値観も近く感じた。若手の模範になる選手」と4年ぶりのキャプテンを託した。

地道に積み上げてきたキャリア。気付けば、歴代最多の通算23シーズン目の出場。「そんないました? 」と笑った。「サッカーって楽しいなと感じながらやれたことは大きかった。1日1日を大切にしたい。体調整えるのも仕事」。10代の選手も多くなった。9月で40歳。情熱は色あせることない。07年以来、14年ぶりのホームでの開幕戦。勝利こそ逃したが、阿部勇樹は、まだまだ元気だ。【栗田尚樹】