神戸の日本代表FW古橋亨梧(26)がリーグ戦3戦連発で、3位浮上に貢献した。前半11分に元日本代表MF山口蛍(30)のクロスを、バックヘッドで入れた。チームは3連勝で、今季古橋が決めれば4戦全勝。先月30日のW杯アジア2次予選モンゴル戦で、代表初ゴールを含む2発。輝きを増し、代表でも不動の地位を築く。新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、約1カ月遅れの本拠初戦となったG大阪は0-0で福岡と引き分けた。

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言葉はなくても2人は通じ合っていた。前半11分、古橋はゴールに背を向け、ふわりと浮く山口からのボールを待った。相手GKとの距離感を察知し、後ろ向きのまま頭で合わせた。14、18年と2度のW杯など経験豊富な山口とのコンビでつかんだゴール。「すごくボールが良かった。触れば入る感覚があった」。26歳は両手の人さし指を立てて喜び、世界に通用する可能性を秘めたホットラインで観客の視線をくぎ付けにした。

3位浮上の神戸で必要不可欠な存在だ。リーグ3戦連発(計4点)で、得点ランクトップに2点差とする今季5得点。18年夏の神戸移籍後もスピードやゴールへの嗅覚に磨きをかけた。19年11月の日本代表入りから新型コロナウイルスの影響によるW杯予選の中断をはさみ、3月のモンゴル戦で待望の代表初ゴール。三浦淳寛監督(46)は「代表に行ってから一皮むけた。リーダーとしての自覚も出てきている」と目を細めた。その言葉を伝え聞いた古橋は「(前線で)最初の守備に入れば、後ろもスイッチが入る。口で引っ張るより、プレーで引っ張る」と照れくさそうに明かした。

チームはリーグ3連勝で、古橋が得点すれば全4試合で勝利。冷静な男も、この話題には「正直うれしい」とほおを緩めた。頼もしい存在は代表定着も視野に入れる。「1試合1点じゃなく2点、3点と決められる選手にならないといけない」。次節は中3日でホーム清水戦。故障で開幕から不在のMFイニエスタの復帰も間近か。勝ち点8差の首位川崎Fの背中は、うっすら見えている。【松本航】

◆古橋亨梧 ふるはし・きょうご。1995年(平7)1月20日、奈良・生駒市生まれ。大阪・興国高ではC大阪ユース所属だった南野拓実と同学年。中大から17年に当時J2の岐阜入りし、岡田体制時の日本代表コーチだった大木武監督(現熊本監督)に育てられた。18年8月に神戸移籍。19年11月ベネズエラ戦で日本代表デビュー。170センチ、63キロ